派手な柱の本命継子〔鬼滅の刃〕

58日目 ページ19

禰豆子が箱から出て、涎を垂らしながらも我慢をする

不死川の血は普通とは違う、これで禰豆子が無視をしたら禰豆子の勝ちだ。

……私だって鬼だ

完全ではないけれど、鬼だ

本気を出せば匂いも気配も見た目も皆が嫌うただの鬼だ

その事実は変わらない、

皆は私を気に留めない、

というか、もう見ていないだろう……

本気で私を真っ直ぐ見てくれる人は居ないんだ

炭治郎なら、見てくれるかもしれない

炭治郎なら、私が鬼でも認めてくれるかもしれない

皆は逃げたんだ、私から目を背けて

私から逃げて

私もそうだ、鬼という私を見ないようにして

『あぁ……本当の私を見ていた人はこの世界にっ…1人も、、居なかったんだね………』

呼吸を変えると、身体が熱くなって身体が変化するのを感じられた

目が熱い、

私の目からは血が流れていた

涙でもなく、醜く汚れた血が

「どうしたのかな？」

「鬼の女の子はそっぽ向きました

不死川様に3度刺されていましたが、目の前に血まみれの腕を出されても我慢して

噛まなかったです」

「ではこれで、禰豆子が人を襲わない事を証明できたね」

禰豆子は、我慢したんだ

頑張ったね……禰豆子

私の身体は反対に、鬼へと変わっていく

時間が速く流れているように感じる

炭治郎や禰豆子が蝶屋敷に運ばれて行った時

やっと皆が私に気づいた

「A？どうした」

『…………』

「Aっ、血が……」

しのぶちゃんが私の顔を無理やり上げると皆がびっくりして
皆の視線が一気に集まる

『私だって鬼なんだ……、皆にはきちんと説明したよ……？

私は皆が私を認めて、ちゃんと向き合ってくれていたのだと

そう……っ』

言葉が詰まる……

『……そう、思っていたんだ



けど、違った
皆は私から目を背けていただけなんだ……


いっそ、殺してくれよ…そんなに鬼を嫌うならば。
なぜ私をその刀で……殺してくれなかったの？


なぜその刃を鬼である私に向けないの？』

『皆が殺してくれないのなら、

自分で首を切ってみせるよ

鬼になんて、生まれたく無かった……

お庭を汚してしまって本当に申し訳ありません……お館様』

目を瞑ると、皆の顔が見えてくる

私が死んだら皆はどんな顔をするのだろうか

私が居なくなったら、天元は寂しいだろうか

義勇、不死川……

しのぶちゃん、時透君、伊黒さん、悲鳴嶼さん、煉獄さん、蜜璃ちゃん

お館様っ……

______っ

小さな掠れた声で私はそう言うと

自分の刀を喉に突き刺した

59日目→←57日目

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す