自惚れ。 ページ28
やっぱりエンマは可愛い。カッコイイ所もあるけど、お菓子を前にすると無邪気で可愛らしい。
私はきゅんきゅん、と高鳴る胸を抑えるので必死である。
「A、今、俺の事子どもっぽいって思っただろ」
頬が緩む私を見て、彼は少し不機嫌な様子でこちらを見てくる。
「ふふ、ううん。素直に喜んでるエンマ見て、こっちまで嬉しくなっただけだよ」
一度家に戻り、紙袋から優しくエンマに渡す予定のラッピングされたマドレーヌを取り出すと、彼はパァァっと効果音がつきそうな表情である。
「手作りか。嬉しい。ありがとな…大切にする」
「良かった、明日までには食べてね」
「あぁ…分かっている。いるんだが…もったいなくて食べられねぇな…」
ガシガシと頭を掻きながら苦悩の表情を浮かべるエンマ。
「もったいないだなんて…、エンマが食べたい時にまた言ってよ。エンマのためなら何回でも作るよ？味は保証できな───」
言いかけて、私はエンマに背を向けた。
彼の瞳…目が合った瞬間、何も言えなくなるほどに───
熱を帯びていた。
どうして、どうして、今、今、そんな瞳をするの。勘違いしてしまう。
「なぁ、A」
少し低めの声。でもとても優しくて、胸が痛い。心臓が物凄い音を立てている。
「自惚れても…いいのか？」
ぁ、と小さく掠れた声が漏れた。震えて、立っていられなくなる。
「A」
「っ、」
彼に優しく後ろから支えられて、私は思考が固まりそうになる。
彼の言葉には私は敵わない。どんな時代の彼だって。彼が彼である限り、私は彼を想い続けているのだから。
「最初…Aが持ってるその紙袋…他の奴にも渡す菓子だろう？情けないが嫉妬した」
彼の声が耳元で聞こえ、背中がゾクゾクとして、余計に立つことが出来ず、体を預けっぱなしになってしまう。
「だが、俺のだけ明らかに豪華なラッピングだし、沢山入ってるし、それに…」
完全にバレていた事に驚く。彼はいつも鈍感だったはず…そんな事を考えていると、ギュッと強く抱き締められた。
「俺のためって＿＿＿そんな嬉しいこと言われたら、自惚れちまう」
吐息混じりの少し弱ったような声が私の心を激しく揺さぶった。
既に、彼の甘い声にクラクラしているというのに。
いつも強気な彼が弱った様子。そのギャップに私は今、完全にやられてしまっていた。
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岸 - yuiさん» yui様、好きと言っていただけて、こちらもきゅんきゅんしております( ´ ▽ ` )これから、もっとキュンキュンさせられるように頑張りますね！コメントありがとうございます(^^) (2022年8月4日 20時) (
レス) id: fa76bf1609 (このIDを非表示/違反報告)
岸 - GHJさん» GHJ様、素敵なコメントをありがとうございます！返信が途方もなく遅くなってしまい、申し訳ございません…！これから再開していきますので、よろしくお願いします(*^^*) (2022年8月4日 20時) (レス) id: fa76bf1609 (このIDを非表示/違反報告)
岸 - 花音さん» 花音様、お返事が遅くなってしまい申し訳ございません。そう言っていただけて光栄です(^^)またぼちぼち再開していきますので、よろしくお願いします！ (2022年8月4日 20時) (レス) id: fa76bf1609 (このIDを非表示/違反報告)
yui - めっっっちゃ好きですこの話...凄いキュンキュンして、一人で悶えてます...... 執筆お疲れ様でした♪ (2022年1月22日 15時) (レス) @page20 id: 091807da6e (このIDを非表示/違反報告)
GHJ - 読んでいると楽しくなりすぎてもう全て読み終わっちゃいました＞＜続き楽しみにしてます！ (2021年12月5日 20時) (レス) @page20 id: 0fb369d062 (このIDを非表示/違反報告)
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