─ ページ8
さすがに10時になって、もう帰らなきゃと重い腰をあげた。
「泊めていただいてありがとうございました。私もう帰ります」
「ああ、昨日着てた服ならそこに干してある」
「ありがとうございます！……あ、乾いてない」
つい、濡れたままの服に触れて言葉が漏れた。我慢すれば着れる程度のものだし、問題ないよね。よし、着るか。
ともう一度服に手をかけた私を制止するリヴァイさん。
「ちょっと待ってろ」
どこかに電話をかけ始めたリヴァイさんの声を盗み聞く。お前んとこのを預かってる。替えの服がいる。手なんか出してない。……誰に報告しているの？
数分後、連打されるインターフォンに恐怖を覚えながらソファの端で小さくなって座っていると聞き慣れた声が聞こえた。ミケさんだ……。
「A！大丈夫だったか？どうしてこんな時間まで帰ってこなかった」
「だってミケさんには彼女さんがいるでしょ」
「だから何の話だ」
こんなに怒ってるミケさんは見たことなくて怖くて、思わず泣いた。リヴァイさんは助け船を出すために「失恋したんだと」と先程淹れていた紅茶を飲みながら言った。
「失恋……？」
泣きじゃくるAの頬に触れるも払いのけられる。今度はミケの瞳が不安そうに揺れている。何故こんなにも拒絶されているのか、Aの様子がおかしくなったのはいつからだ？思い返して、たどり着いた。
もしかしたらあの時。
「ナナバにクレープをおごったときか」
「！……」
Aの表情がそうだと認めていた。
きっとあの時、Aの匂いがしたのは気のせいではなかった。確かにAはあそこにいて、一緒にいたナナバを彼女だと勘違いして……リヴァイの家に泊めてもらった経緯は知らないが失恋したということは。
「Aは俺が好きなのか？」
思わずそう言うと顔をさらに真っ赤にして、ぽかっと俺を殴るA。全然痛くない小さな拳を両手で包み込むと、Aは今度は震え始めた。
次から次へと溢れてくる涙に思わず口付ける。
「良かった」
「何がですか！」
「俺もAの事が好きだ。
今すぐ押し倒したい程には愛している」
そう言って、本当に身体を近付けるとAはフリーズしてしまった。あと数センチ、というところで俺の身体が後ろに引っ張られる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 35人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
宇治銀時(プロフ) - 可愛い後輩ちゃんさん» コメントありがとうございます！ハンジさん良いですよね。短編作ろうとしたときに真っ先にハンジさん書いてました(笑)かっこいいし、可愛いし。喜んでいただけて嬉しいです！ (2022年3月28日 19時) (
レス) id: 7eec906a71 (このIDを非表示/違反報告)
可愛い後輩ちゃん - 〜、！！好きです！！ハンジ担としては一話目からハンジさんなのが嬉しすぎて😭 (2022年3月28日 18時) (レス) id: 28b1a8c3b0 (このIDを非表示/違反報告)
宇治銀時(プロフ) - 蠱闇さん» コメントありがとうございます！頑張ります。(*ﾟ▽ﾟ)ﾉ (2022年3月22日 20時) (レス) id: 7eec906a71 (このIDを非表示/違反報告)
蠱闇(プロフ) - めちゃくちゃ良きです！特にミケさんの話が最高です🥺 応援してます！ (2022年3月22日 2時) (レス) @page14 id: cc664d8487 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：宇治銀時 | 作成日時：2022年3月21日 22時
