ベルトルトと悪夢。 ページ21
「眠れないの？」
真っ暗で静寂で……先程見た悪夢を溶かすように湖を凝視しながら座っていた僕に声がかかる。振り向くとそこにいたのは同じく104期訓練兵のAだった。
「少し、イヤな夢を見たんだ」
「ふふっ、優秀なアナタにもそんな面があるんだね」
違う、彼女の僕に対する評価は間違っている。僕は優秀なんかじゃない。優秀な戦士だったら今頃こうやって悩みはしないだろうし、もっと自分の意思で行動出来るハズなんだ。
それに、イヤな夢はここに来てから……あの壁を破壊してから毎日見ている。不安だからとかそんなんじゃなくて、きっとこれは怨みなんだろう。怨まれて当然だ。あんなに大勢の人を殺しておいて何もないわけがない。
「ねぇ、ベルトルト」
「何？」
「また難しい顔をしてた。アナタのことまだ何も知らないから勝手な推測で話すんだけど……何かとても苦しいことがあったんだよね」
「……」
「お節介で無いといいのだけれど……少し、この一時だけでも忘れてもいいんじゃないかな」
そう言って僕の頭を撫でたA。背が高いから久しく撫でられたことの無い頭。いや、故郷にいたときも褒められることはあっても頭を撫でて褒められたことなんて無かったかもしれない。
「ベルトルトは優秀だからね。いいこいいこ」
「子供扱いしないでくれよ」
そうは言ったが、撫でるのをやめてほしいわけではない。彼女にはそんな僕の裏返しの言葉さえ見えているみたいで、わかったわかった。と笑いながら頭を撫で続けている。
「ん、そろそろ戻ろうか。体が冷えてしまうし何より明日も朝から訓練だ」
「そうだね……ありがとう」
その日は悪い夢なんて見なくて、むしろあたたかくて幸せな夢を見た。朝起きると、僕がしっかり寝ていると騒ぐ同室のメンバーたち。やめろよ、あの夢を思い出したいのにそんなに騒ぎ立てたら消えていってしまう。
「おはようベルトルト。昨日はよく眠れた？」
「うん、ありがとうA。君のお陰だ」
「ほう、ベルトルトとA……お前らいつからそんなに仲良かったんだ？」
「ライナー、僕とAは別に」
「元々仲は良い方だと思っていたんだけど。ライナーにはそう見えていなかったんだね。そうだ、よかったら君とも仲良くしたいな」
動揺して慌てふためく僕とは違って澄ました顔のままライナーに微笑むA。からかわれたライナーは珍しく余裕がなさそうにそそくさと逃げていった。
終わり
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宇治銀時(プロフ) - 可愛い後輩ちゃんさん» コメントありがとうございます！ハンジさん良いですよね。短編作ろうとしたときに真っ先にハンジさん書いてました(笑)かっこいいし、可愛いし。喜んでいただけて嬉しいです！ (2022年3月28日 19時) (
レス) id: 7eec906a71 (このIDを非表示/違反報告)
可愛い後輩ちゃん - 〜、！！好きです！！ハンジ担としては一話目からハンジさんなのが嬉しすぎて😭 (2022年3月28日 18時) (レス) id: 28b1a8c3b0 (このIDを非表示/違反報告)
宇治銀時(プロフ) - 蠱闇さん» コメントありがとうございます！頑張ります。(*ﾟ▽ﾟ)ﾉ (2022年3月22日 20時) (レス) id: 7eec906a71 (このIDを非表示/違反報告)
蠱闇(プロフ) - めちゃくちゃ良きです！特にミケさんの話が最高です🥺 応援してます！ (2022年3月22日 2時) (レス) @page14 id: cc664d8487 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：宇治銀時 | 作成日時：2022年3月21日 22時
