ジャンと幼なじみ。 ページ16
「ジャン……こんにちは」
「おう、今日もおとなしく寝てたか」
小さい頃は病弱な私に毎日お花を届けてくれた優しいお隣さん。名前はジャン・キルシュタイン。他のお友達には、素直すぎてデリカシーの無いジャンを嫌う子もいるけれど私は彼のことが好きだ。
「うん。今日はだいぶ調子も良くて……っ、げほっ」
「ったく、しょうがねぇヤツだな」
やや強引に、ベッドに寝かされて私はおとなしく従うしかない。でも少し寂しそうな顔をすればジャンは頭を撫でて寝かし付けてくれる。
その手からはなにか魔法が出ていて、私が嫌な夢を見ずに安心して眠れるようにしてくれているのだと割りと最近までそう思っていた。
ジャンがいてくれるから私は大丈夫。
そんな私達も12歳を迎えれば生き方というものを見なくてはいけなくなって、生産者として働くことを勧める両親とジャンと離れたくない私の心とがぶつかり合って何度か喧嘩をした。
「ジャンは、兵士になるんだよね」
「ああ」
「私もなろうかな」
「はぁ！？お前は止めとけよ」
「でも」
「身体もロクに動かせねぇヤツが兵士になんかなれるかよ」
初めて。初めてジャンの裏表の無い言葉が私の心をえぐった。理解していたハズなのに、それ以上に悔しかった。
「私だって好きでこんな身体に生まれた訳じゃない！もう来ないでよ！！顔も見たくない……っ」
叫べばすぐに咳が出そうになるこの貧弱な身体が呪わしい。それは今に始まった事ではなくて、貴方からのお花が増える度にずっと、ずっと、ずっと、ずっと、ずっと。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 35人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
宇治銀時(プロフ) - 可愛い後輩ちゃんさん» コメントありがとうございます！ハンジさん良いですよね。短編作ろうとしたときに真っ先にハンジさん書いてました(笑)かっこいいし、可愛いし。喜んでいただけて嬉しいです！ (2022年3月28日 19時) (
レス) id: 7eec906a71 (このIDを非表示/違反報告)
可愛い後輩ちゃん - 〜、！！好きです！！ハンジ担としては一話目からハンジさんなのが嬉しすぎて😭 (2022年3月28日 18時) (レス) id: 28b1a8c3b0 (このIDを非表示/違反報告)
宇治銀時(プロフ) - 蠱闇さん» コメントありがとうございます！頑張ります。(*ﾟ▽ﾟ)ﾉ (2022年3月22日 20時) (レス) id: 7eec906a71 (このIDを非表示/違反報告)
蠱闇(プロフ) - めちゃくちゃ良きです！特にミケさんの話が最高です🥺 応援してます！ (2022年3月22日 2時) (レス) @page14 id: cc664d8487 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：宇治銀時 | 作成日時：2022年3月21日 22時
