オカンと覆面男の幼なじみは紅一点【最/俺】 (ページ4)

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「ようは二人きりにならなきゃいいんだろ？じゃあキヨがいれば三人だし、問題ねえじゃん」

こーちゃんは名案だろ？とでも言いたげに目をみてくる。そして、清瀬くんにも同意を促してくる。

「キヨにも悪い話じゃないはずだよな？何せ常に学年トップ3に入るような奴に教鞭を取ってもらえるんだし」
「確かに…」
「清瀬くん、納得しないで！確かに二人きりとは言ったけど…」
「言ったけど？」
「けど…」

どうしても、後の言葉が続かない。初対面だから、と断っても、今話したしもう違うだろ、と言われて終わりだ。

「A、お前確か家じゃ受験のためにってゲーム禁止されてたよな？」
こーちゃんは以前私から相談した話を持ち出す。常にトップとは言っても学校の定期テスト内での話であり、模擬試験は意外と低かったりするのだ。それを両親に指摘され、現在は携帯ゲーム機は愚かPCさえ触らせてもらえない。
「そうよ、それがどうかした？」
「俺とキヨに勉強教えてくれたら、俺のPCに入ってるゲーム、好きなだけやっていいぞ」

思わずぴくりと反応してしまう。

「東雲さん、俺達に勉強教えて？」

清瀬くんは私の目を見て、頼み込んでくる。
そんな彼を断れるはずがない。

「わかったよ…。その代わり、親への口裏はちゃんと合わせてよね」
「やった！ありがとう、東雲さん！」
「さすがAだわ！じゃあ来週から頼むわ」

「まって、こーちゃんが付き合ってる間って言ったじゃん！」
「普通にやってくれたら、DSも貸すけど？」
「やります、やらせてください」

「はあ…」

自分の部屋で溜息をつく。
何であんなこと言ってしまったんだろう…。
ゲームの魔力に勝てなかった自分が悔しいが、何より私がゲームに弱いと知って引き合いに出したこーちゃんが腹立たしい。
「ゲームには勝てねえべ、仕方ない…」

次に集まるのは、来週の月曜日。
その時に今日やっていたゲームを更に進めるらしい。
「言っても、土日挟むだけなんだけどな」
カレンダーを見ながら、今日は金曜日だったと思い出す。元々曜日感覚がない方だったが、今回の件で少しずつ治されそうな気がして、こーちゃんはそれすら視野に入れてたんじゃないかとも思ってしまう。

「辞めた」
今日はもう寝てしまおう。目の前に広がった課題達を閉じて、布団に潜り込む。

沢山話したとは言えまだ清瀬くんへの不信感は拭えない。
心配ならなおちゃんも誘えばいいかと考えながら眠りにつく。
来週から忙しくなりそうだ。