. ページ28
＿
俺「暑くなってきたし、海入りたいね」
朝比奈「まだ五月なんで」
俺「…だよね」
気まずい雰囲気のまま、海沿いを歩く。
俺「ラウ、滝沢歌舞伎どうだった？楽しかった？」
ラウ「え？うーん、あんまり覚えてないかも。必死すぎて」
俺「朝比奈さんは？」
朝比奈「…楽しむまではまだ、余裕なくて」
俺「まだまだ子供だなぁ、お前達は」
朝比奈「は？」
ラウ「え？」
わざとそんな言い方をしてみる。
…片方からは思ったより低い声が聞こえてきたけど。
俺「まだまだ子供なんだから、もっと甘えてほしいんだよ、俺は。どうせ嫌でも大人になるんだから」
これは朝比奈さんに向けて。
ラウールはしっかり甘えてきてくれるからね。
朝比奈「…甘えるって、何ですか」
俺「んー、思ってる事ちゃんと言葉に出すとか？朝比奈さん、全部飲み込んじゃうでしょ」
全部吐き出してぶつけ合うのも、信頼関係あってこその甘えだと、俺は思うから。
朝比奈「…悔しかった。ラウールくん、やっぱり凄かったから」
ラウ「え？」
暫く考え込むように黙っていた朝比奈さんが、ぎゅっと鞄を握りしめながら口を開いた。
朝比奈「なんかめっちゃ、泣いてるくせに。ステージ立つと、キラキラしたアイドルだった」
ラウ「ありがとう、なのか？…お、俺も悔しかったよ！Aちゃん、ソロあるし、めっちゃ歌上手いし」
朝比奈「翔太くんに教えてもらったから」
ラウ「それもずるい！」
子供みたいに言い合いする二人。
よかった。
そんな二人を見て自然と頬が緩む。
まだまだ先は長いんだから、ぶつかり合える関係でいてほしかった。
なんて、俺のエゴかもしれないけど。
朝比奈「目黒さんはこれで満足ですか？」
俺「え？」
朝比奈「ラウールくんと溝、埋めさせたかったんでしょ。超お節介」
俺「…ごめん」
どうやら怒りの矛先が俺に向いた模様。
お節介でもなんでも、俺は二人が楽しそうにしてくれてたら満足だよ。
朝比奈「ありがとうございました！！ラウールくんも、変な態度取ってごめんね！！」
恥ずかしそうに、それを隠すように、怒ったようにそう声を張る朝比奈さん。
そんな彼女を見て、俺らは三人で笑った。
俺でもメンバーでも。
朝比奈さんが自然と甘えられる、そんな存在になれたらいいな。
＿
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1700人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：うさみ
| 作成日時：2023年7月8日 14時
