★359 ページ5
・
とても小さな囁きだった。
・・・この囁く声を、知っている。
ああ、お前が誰だかわかるとも。
オレに殺しの全てを教えてくれた「ピエロ」だ。
「いいかバーダック。絶対、あの人の”囁き”は聞くな。あれは、仲間をも忠実な犬にする悪魔の囁きだ」
ああ、そうだな、■■■。覚えているとも。でも、体が、手が、動けない。耳を、塞げない。
聞いてしまう。目の前が血の色になっていく。
―――さあ、私に見せてくれ。サイヤ人を殺すサイヤ人という喜劇を、私に見せてくれ！！
サイヤ人、コロス。
ああ、そうだ。オレは、そのために、生きてきた。
「・・・・・・」
けど、生きるのが怖くて死にたくなった。
今ならわかる。オレは、サイヤ人をこの手で滅ぼしたとしても、
喜べるはずがない。
サイヤ人を殺すということは、トーマたちがいないということだ。
ターレスも、ローレスも、ギネも、ラディッツも、
・・・・カカロットも。
こいつらは実際、「オレ」が築いた友でもないし、家族でもねえ。
みんな、みことが手に入れたものだ。
「
答えは・・・否、とも言える。
所詮、オレはこの数十年、みことを通して見ていたに過ぎない。
赤の他人に、すぎない。・・・それが答えだ。
・
・
もう誰もが、一歩も動けない状態だった。
暴走した流れ弾の如く飛んでくる拳は彼らにダメージを与え、次々と戦士を脱落させていく。今立っているのは、悟空とベジータのみだった。
息を整える間にも、バーダックは吠え続けた。
・・・そして、ギョロリと赤い目を、倒れているトーマたちへ向けた。
大きく拳を振り上げて。
「「！！！！」」
潰される。
誰もがそう思ったとき、
迫り来る拳の前に、悟空が立ちふさがった。
「！カカロット―――」
ラディッツは届かぬ腕を伸ばした。豪風と共に、弟に迫り来る拳から守りたかった。
「とおちゃあーーーーーん！！」
もうこれで、終わってくれ・・・！
それが、悟空の願いだった。
仲間を痛めつける父の姿をみるのは、もうイヤだった。怨念から早く開放したい。悟空はみことの助け舟を待つ。絶対、あの子は父ちゃんを助けてくれる。
父ちゃんを助けられるなら、今、やられても・・・
ゴオッ！！
―――目の前が、ゆっくり、真っ暗になった。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 38人がお気に入り
「成り代わり」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おと姫と愉快なサカナたち(プロフ) - うう…感動した…これ書籍化して欲しい！ (2019年4月17日 0時) (
レス) id: e21618e8ed (このIDを非表示/違反報告)
ほのか(プロフ) - はじめまして！1からすべて読ませていただきました！最後のほうなんかはもうボロボロ泣いて読んでました笑 この小説でバーダックが好きになりました！また次の作品も読ませていただきたいと思います！！ (2018年11月28日 13時) (レス) id: 2f5a2fbd1b (このIDを非表示/違反報告)
降る家 - 十六夜月夜さん» ありがとうございます！正直、数年かけたというより、更新遅らせて数年掛かった作品ですが(苦笑)、読者のみなさんが待ってくださったことに感謝しています。番外編のページも作る予定なので、またお会いしましょう！ (2018年9月16日 21時) (レス) id: 23637d11a4 (このIDを非表示/違反報告)
降る家 - 木乃さん» 今までありがとうございました！実は最後に龍空と菜々乃には登場してもらおうと思ってました！あくまで、「成り代わりの道には進まず、生きる二人」であり、やまとと仲良くDB友達になる未来へ進む。という意味も籠めてのエピローグなんです！番外編でお会いしましょう！ (2018年9月16日 21時) (レス) id: 23637d11a4 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜月夜(プロフ) - 降る家さん、今までお疲れ様でした！数年掛けて完結した作品...憧れます！ (2018年9月1日 21時) (レス) id: f9bc2076b3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：降る家 | 作成日時：2017年10月1日 16時
