☆374 ページ20
――でもね、一人で闘うのって、大変だったと思うの。
―――その人はきっと、皆を助けたい思いでいっぱいだったはずだよ。けど、一人じゃ何もできないの。その人は、同じ意志をもつ仲間がいなかった。だから一人でやるしかなかった。
――考えてみてよ。たった一人で、全てを救うなんてできるとおもう。
【…………】
―――お前達、どうかこの者たちを恨まないでくれないか？この者は今、多くの仲間と共に生きる時間があるのだ。この者は確かに悪事を働いたが、多くの命を助けた。・・・生きる中で、人は過ちをおかし、失敗から多くのことを学び、人と寄り添い、助け合っていく…。
この者も、その一人にすぎんのだよ。
―――そして、未来を担い生きる人間なのだ。その命を、奪わないで欲しい。
―――お兄さんは、悪者のふりして助けようとしてくれた優しい人なんだ。あの頃のこと、ボクまだ覚えてるよ！
『………』
「…みこと、おめえ、こんなにたくさんの人たちを救ってきたんだな」
目を潤ませ、顔をバーダックの首に埋めるみことの背に腕を回し、バーダックはそっと抱きしめた。光の声は、みことが今まで背負ってきた後悔や絶望を溶かしていった。
【………私は…】
どこか落ち着いた声で話す怨念は、心なしか、渦の力が弱まった。
【私は、憎かった…。私たちの命を奪ってのうのうと生きる奴らのことが…】
【大好きな星を滅ぼされて、未来を奪われたことが許せなかった】
【…けど、この人は、その中で一人闘っていたんだね】
【仮面を被ってまで、一人でも多くの人を助けようとして…】
徐々に弱まる力から、バーダックは身動きができるくらいまで開放された。そして、二人に近づく一つの光が、二人の間に現れた。
―――バーダックさん。貴方は、僕を助けてくれたバーダックさんだよね？
みことのほうへ近づいて話す光の玉をみて、みことはゆっくりと頷いた。
―――やっぱりそうなんだ。…ふふ、こんな不思議な運命なんてあるんだね。ねえ、バーダックさん、ボクは、ずーーーっとバーダックさんのことが大好きだよ。それに、バーダックさんは悪い人なんかじゃないよ。あのチルドを倒してみんなを救ってくれた、強くて優しくて、カッコいい人なんだ！
『お、おまえ・・・っ！』
光はふよふよと漂いながら、バーダックの方へ近づいていった。
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おと姫と愉快なサカナたち(プロフ) - うう…感動した…これ書籍化して欲しい！ (2019年4月17日 0時) (
レス) id: e21618e8ed (このIDを非表示/違反報告)
ほのか(プロフ) - はじめまして！1からすべて読ませていただきました！最後のほうなんかはもうボロボロ泣いて読んでました笑 この小説でバーダックが好きになりました！また次の作品も読ませていただきたいと思います！！ (2018年11月28日 13時) (レス) id: 2f5a2fbd1b (このIDを非表示/違反報告)
降る家 - 十六夜月夜さん» ありがとうございます！正直、数年かけたというより、更新遅らせて数年掛かった作品ですが(苦笑)、読者のみなさんが待ってくださったことに感謝しています。番外編のページも作る予定なので、またお会いしましょう！ (2018年9月16日 21時) (レス) id: 23637d11a4 (このIDを非表示/違反報告)
降る家 - 木乃さん» 今までありがとうございました！実は最後に龍空と菜々乃には登場してもらおうと思ってました！あくまで、「成り代わりの道には進まず、生きる二人」であり、やまとと仲良くDB友達になる未来へ進む。という意味も籠めてのエピローグなんです！番外編でお会いしましょう！ (2018年9月16日 21時) (レス) id: 23637d11a4 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜月夜(プロフ) - 降る家さん、今までお疲れ様でした！数年掛けて完結した作品...憧れます！ (2018年9月1日 21時) (レス) id: f9bc2076b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：降る家 | 作成日時：2017年10月1日 16時
