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｢ウォヌや」
WN｢｢…なに？」
｢大丈夫だよ」
WN｢今ので…なにが大丈夫になるわけ？」
｢いや、そんな顔しなくても大丈夫って話」
｢もう２年も経ってるから」
“２年も”とAは言ったけど、それが長い短いかどうかなんて、そして、その時間がが“大丈夫”と言える理由になるのかどうかなんて、当の本人じゃない自分には何も分からない。
だから否定することもできなければ、果たして素直に受け止めることも正解なのかどうか。
｢もしかしたら、あの日お姉ちゃんから言われたことは全部悪い冗談だったんじゃないかって。
本当は今もまだ家にいて、座椅子に座って“がんばってるか”って言ってくれるんじゃないかと思って」
あまりにも酷な話をしているわりにAの表情はいつも通りに戻っていた。
声も普段と同じトーンで、そのせいなのかもしれないけど、鼓膜を揺らす全ての話が本の中のことみたいだと思った。
少し残酷なおとぎ話。
そんなことを思ってはいけないことは承知の上で、きっとAが無意識にそうしている。無意識に掛けた“心配”を今遠ざけようとしている。
｢気づいちゃったんだよ。もうずっと1人なんだって」
WN｢1人って…」
“あんなに人に囲まれているくせに”
そう口にするのはきっと違うんだろうけど。
でも、本当のことだ。Aの周りにはよく人がいる。それはAが誰かの“頼る人”になっていることもあるし、Aが人の興味を惹く対象になりやすいこともある。
はっきりとした理由があるわけではないんだろうけど、ソクミニもよく言っているから。
「学校でAの名前を聞かない日はなかったかも」って。青砥Aという人は、そういう人間のはずなのに何をもって“ひとり”だなんて言うのか。
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作者名：柊
| 作成日時：2023年1月29日 9時
