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2014年__
中学生になって早3ヶ月。
今までは何も思わなかったことが不快に感じることがあった。
それは、男に間違われること。
男らしい風貌をしているし、声だって周りの女の子に比べれば低い。
私が悪いのはわかってる。
だけど大好きな野球を続けるためには髪は短いほうがいいし、膨らんできた胸を潰す方が断然良かったから。
中学に入ってからはあの犬塚翔がいる名門クラブチーム、松阪バーズに入った。
入った当初は女だと思われていなかった。
練習終わりにこそこそ着替えているところを見られ女だとバレた。
そこからは選手の態度はあからさまに悪くなった。
女がこんなところで野球をしている意味がないから。
犬塚さんや江戸川さん、児玉さんは今まで通り接していくれてはいた。
だけどそれが女の私を哀れんでいるように感じ、私の方から距離を置くようにした。
アップのキャッチボールの相手はいなかった。
バックネットに向かて一人でボールを投げることしか出来ない。
ピッチャーのはずなのにバッテリー練習もしたことがなかった。
練習試合にはたまには出してくれたけど満足行くほどじゃなくて野球をやめようかと迷っていた。
そんな時、私の目の前に一点の光が差した。
鈴鹿ボーイズの練習試合終わり相手のキャッチャーが私に話かけてくれた。
「いい球ほるやん!名前なんていうん?」
屈託のない笑顔で話しかけてくれる彼はキラキラ眩しくて、クラクラした。
「…羽根。」
名前を言ったらだめだと思った。
また女だって失望される
そんなのいやや。
「俺は日沖壮磨。高校入ったらあんたの球捕りたいわ」
そんなの無理なはずやのに……
「約束や、絶対忘れんやんといてな」
なんでこんなこと言ったたんやろ。
自分の首締めるのは自分やのに。
また壮磨くんに会えることを願ってその日は神社によってお願いした。
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作者名:腐女子なとろろこんぶ | 作成日時:2023年11月30日 22時