[wrwrd]青に溶ける (ページ26)

今日:10 hit、昨日:3 hit、合計:104,320 hit

２４ページ26

１日１日、全ての業務をこなせば、ベッドに倒れこんで死んだ様に眠り、そうしてまた朝が来たら、シャワーを浴びて、仕事に向かう。

やってみれば案外そんなもので、辛いし、休みたいと泣き言を言いたいけど、上司が冗談半分に「逃げようか」と笑って、その度叱るたび、私も頑張らないとと気合が入る。

啖呵切ったのは自分だ。やり切れ、私。

そう思いながら、常日毎に仕事に向かう日々を送っている。この案件が終われば、また上司を追いかけ回す日々が続くのだろうか。

その事を面倒に思う割に、何処かそれが無くなれば、寂しくも思っている、そんな気もする。

自分でも、よく解らない。

そんなくだらない事を考える中で。

「Aちゃん、大丈夫なの」

そんな事を、訊かれた。言葉の理解に、少し掛かった。ダイジョウブナノ？だいじょうぶなの？

「私は全然、寧ろ楽しいくらいですよ？」

空虚な言葉にほんの少しの本音を混ぜた。私が言い出したのだ。厭であれば断っている。

「……そう？でも」

ふっ、と心配そうな影を顔に落とし、私の方に柔く歩いてくる。私の目の前に止まり、じっと私の顔を見つめた。それはもう、何かついてるのか？と思うくらいに。

きょとんと目を見開く。意図が掴めず、首を傾げた。

「？」

男性にしては細長く、だけれど骨張った綺麗な手が、ゆっくりと近づいてくる。

その手は柔く顎に触れ、少し顔を上向きにさせた。そうして、見透かす様な目で目を射抜く。全て知られている、そういう錯覚が再び頭の中で沸き起こる。

「最近、ちゃんと寝れてないんちゃう？やないと、隈の説明がつかへんもんなぁ」

するっと頬を撫でながら、「どうせ疲れたからすぐ寝て、最低限身嗜み整えて、って生活してんのやろ？」

ひやりとした。あの時と同じ感覚だ。

「まぁ、らしいっちゃらしいんやけど。根詰めすぎたらあかんって」

はぁ、と溜息交じりに言い、頬をもう一度撫でてから、その手を頭に移動させ、また撫でた。

呆れた部下なのだろう。実際私自身、自分の引き際を見誤って、と自分を恥ずかしく思うし、もっと器用に、それこそ第二補佐官を避けている時の様に緩く手を抜ければと思う。

だけど、駄目なのだ、今回は。呆れた部下でも構わない、この仕事に手を出したのも自分なのだから、上司に迷惑かけたくもない。

御免なさい、不出来な補佐官で。

「コネシマ様にも、そう言われました」

曖昧に笑った。