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ガラス窓に、
『皿洗い、厨房、女給募集。
店の二階に住み込み可』
の張り紙がしてある。
住み込み可、という文字が、
救世主のように、この目に飛び込んできた。
ここに置いてもらうには、
どうしたらええんか。
葵ちゃんとお喋りしてる間ずっと、
そればかりを考えておった。
大野さんは、私を上から下まで、
値踏みするように、ご覧になって。
「雇えねーな」
一言、そうおっしゃった。
「なんでもします」
「なんでもって言っても、
君、松下のお嬢ちゃんだろ？
何一つ出来ないだろうよ。
半玉から仕込むには、年増だしな」
年増・・・
私はまだ二十歳やというのに。
けれど、お父様がよう、
二十歳までに嫁に行くように、
おなごの幸せは、それに尽きると、
そうおっしゃってたんを思い出す。
「このお店で雇うて頂けませんか？
読み書き、計算、お茶お花、
それに、和裁。
少しだけなら、
師範学校で英語も勉強しました」
「この店ね、
前みたいな純喫茶はやめようかなって思ってんだよね。
これからの時代は、
芸者代わりの女給のいるカフェー、
特殊喫茶だと思うんだ。
こんな衣装着て、
客に身体触られても平気？」
大野さんが店の奥から持って来はったんは、
鮮やか過ぎる色の、
肌を露わにするような、洋服。
これを着るんは、
私にはとてもやないけど、
屈辱的で、出来へん。
それに、身体を触られる、て・・・
怖気付いた私を見て、
大野さんが、ため息をつかれた。
「悪いこと言わないからさ。
親類の家に頭下げなよ。
あんた、華族のお姫さんなんでしょ？」
「それは亡くなった母の話で・・・
私は違います。
お願いです。
行くあてがないんです。
皿洗いや珈琲を淹れるのを、
勉強します。
お勘定もさせて下さい」
「しようがないなあ。
来月から、女給さん入れて、
本格的に営業するから。
それまでに、
厨房を回せるようになれたら、
雇ってやる」
「ありがとう存じます」
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亜季(プロフ) - 移行でまだ続きが読めるの嬉しいです！ (2019年11月7日 22時) (
レス) id: a8bccc7358 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - ちょうど良いところでまたお預けに笑 章大さん優しくて可愛いです。君がためも読んできました！たくさんの更新ありがとうございます！ (2019年11月7日 15時) (レス) id: ad46af1069 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - ついに2人が…と思ったらお預けで、私が焦らされてます笑 続き楽しみにしています。 (2019年10月29日 7時) (レス) id: 1daab7209e (このIDを非表示/違反報告)
亜季(プロフ) - やきもち焼いて、ちょっと乱暴になる章大さんがかわいい！ (2019年10月21日 22時) (レス) id: a8bccc7358 (このIDを非表示/違反報告)
むー(プロフ) - おまけの更新、とっても嬉しいです！続きも楽しみにしていますね。 (2019年10月21日 22時) (レス) id: d961b44abd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：fool x他1人 | 作成日時：2019年6月14日 21時
