31日目 ページ33
「つ、強いなお前……」
審判が終了の合図を出し、ハンゾーも背中を摩りながらもゆっくりと立ち上がる。
「先程も言ったが……ロクサスの前では負けられないからな。
手荒な真似すまなかった」
謝罪を一つ入れれば、ケアルを使ってハンゾーのダメージを回復した。恐らくこの位で大丈夫だろう。
「うおっ……！ ど、どうなって……」
「お前には次の勝負もあるだろう。余計なダメージは次に響く」
そう告げるなりある事を思い出す。
大分酷い怪我をゴンが負っていたな……折角の事だ。治しに行ってやろう。
「A……どっか行くのか？」
行動を始めようとするなり、それに逸早く気付いたロクサスは此方に駆け寄って来る。
「……ゴンの傷を治してくるだけだ」
「待って、オレも行く」
何だかむくれている様な表情を浮かべるロクサスは、オレを一人で行かせようとするつもりが一切無いらしい。
「唯、治すだけだが……仕方ないか」
完全な諦めを覚えながらも呟けば、ロクサスを引き連れてゴンが休んでいる部屋へと訪れた。
「おや？ あなた達は……」
回廊から出て来たオレ達を見て、僅かに驚いた様な仕草を見せる何時ぞやの試験官。
「其奴の傷を治しに来た」
一言そう告げれば、再びケアルを使ってゴンの傷を治す。
するとみるみると外面的な傷は消えていき、唯々ゴンが眠っているような……そんな有様になった。
「……戻ろう」
やる事が終われば、不貞腐れながらも手を引っ張って来るロクサスに「用は済んだからな」と、頷く。
「待ってください」
そうしてオレ達が立ち去ろうとすれば、試験官に声を掛けられた。
神妙な声に思わず足を止め、其方を振り向く。
「……いえ、何でもありません。
ハンター試験合格、おめでとうございます」
「……ああ」
何かを言いかけた様子だったが、口を噤んだ試験官に一言返せば、会場へと戻った。
___結果的に不合格になったのはキルアだった。
他の試合に手を出し、不合格とみなされた。
その理由は、301番___あの時の男がキルアの兄だったという事だな。
あの男はやはり……念能力を持っていた。
キルアにも才能はあるが、それが有る者と無い者では大きな差になるらしい。
その後の講習も一騒ぎあったが無事に終わり、ハンターライセンスを取得した。
一週間という長期間滞在だった為に、一旦帰還する事にした。
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作者名：レフト | 作成日時：2017年5月27日 19時
