30日目 ページ32
「アホかーーー!!」
怒号と共に空高く殴り飛ばされるゴンの身体。
……これでもゴンは勝利したのだ。
第一試合、いつまでも参ったと言わなかったゴンの我慢勝ちである。
……という事は、オレの相手は彼奴か。
次に、ロクサスとクラピカの試合が始まったが……
「Aは奪わせない……!」
「この1週間で一体どうしたんだ、お前は……」
殺意だだ漏れの状態で遠慮無しに戦った結果、ロクサスの圧勝だった。
これでロクサスは合格なのだが……複雑だ。
「……お前の名前は?」
「Aだ」
お互い自己紹介しながらも始まる試合。
ゴンとは一方的に優勢な戦いだったのにして敗けたハンゾー。
「すまねぇがA……お前には手加減しねぇからな」
当たり前だが勝つ気でいるらしい。
「ああ。掛かって来るなら来い」
今回はキーブレードを使用せずに、念能力を試す機会として見受けよう。
そんなオレの態度が気に入らなかったのか、ハンゾーは青筋を立てながらもその場からスッと消えた。
「……」
「ぐあっ!」
背後に回った事を念で読み取り、オレの頭部へとめがけられたキックを躱してそのまま其奴の背後に回り、蹴り返した。
「すまないが、此方もロクサスが勝った以上負けていられないんだ」
「くそっ……!」
蹴りを食らったハンゾーは、数歩退がっては何とか態勢を整えるも、若干足元が覚束ない様子からダメージを負っている事が判る。
「さて、戦うか戦わないか」
邪魔になったフードを脱ぎ、ハンゾーを見据えては訊いた。
次に回した方が良策だとオレは思うぞ。
「……お前は何だ?」
すると、暫く無言で此方を見ていたハンゾーが質問を返してきた。
回復の為の時間稼ぎだろうか……例えそうだとしても、その質問は妙に気にかかった。
「……何だ、とは?」
「お前には感情の内側が、本心が存在していない様に見える。
そんな人間、早々にいねぇよ……だから聞いてんだ、お前は何だ?」
成る程……此奴はそういうものに長けているんだったか。確かにゴンの時にも話していたな。
「……機密事項だ」
答えられない質問にそんな答えをを出せば、誤魔化す様にオレはグラビデを使い、其奴を拘束する。
「さあ、まだ続けるか。 続けられるか」
グラビデの重力には逆らえない。
ハンゾーは成す術も無いといった様子で……
「……まいった」
と、降参の意を告げたので、グラビデを解除した。
良し。これでやっと終わりだな。
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作者名:レフト | 作成日時:2017年5月27日 19時