2話 ページ3
「___ねぇ、大丈夫かい？」
体を揺すられ、声を掛けられてオレの意識は浮上する。
思い瞼を半ば無理矢理開けば、オレは土の地面に倒れ伏しているのが分かった。
顔を上げて誰がオレを起こしたのかと目を向けると、そこには黒髪の……片目に血が流れている男の人がいて。
涼しい風を感じて、ゆっくりと上半身を起こす。
辺りを見渡すと、そこは砂ばかりの太陽が照りつける場所ではなかった。
青々しく生い茂る草木や、向こうまで続く土の道。要するに、ありふれた光景だ。
「……また、場所が___ってそうだ！！
腹は！？ 空いてるっ！？」
倒れた時の事を思い出し、勢いよく下を見る。
ぱっと見て、服には損傷がない。
だったら中はどうだ、と手を触れてみるも、先程の様な窪みはもう無かった。
「け、怪我してるの？」
「んー……いや、何でも無いみた___わっ！
お前の方が怪我してるじゃんか！」
心配して問い掛けてくれたその人に返事をしようと再び前を向く。
すると、その人は目を怪我したのか出血していて。今気付いて結構焦った。
「え……ああ、僕は大丈夫___」
「今治すからな！」
その人が何かを言いかける前に、ケアルを唱えてその傷を癒す。
傷を作って時間があまり経たないのか、それはみるみるうちに治っていった。
「目が治った……君は一体……？」
目に触れて確認したその人が、驚きと茫然の間の様な表情を浮かべる。
対して、オレはニッと笑い返して言った。
「オレA！
心配してくれてありがとうな！」
「……僕はジョナサン・ジョースター。
みんなからはジョジョって呼ばれてるよ。
何が起こったのか解らないけど、とにかく怪我を治してくれてありがとう。
君も平気な様で何よりだ」
見た所、オレより背は大きくても歳はあまり変わらなそうな少年___ジョナサンもといジョジョは、柔らかい微笑みを見せる。
「ところでさ、何で目にそんな怪我してたんだ？」
「ああ、これはね……さっきボクシングで負けちゃったんだ」
目を伏せてそう告げたジョナサンは、どこか悲しそうだ。
ボクシングって……あの殴り合うスポーツの事か？
いくらそんな競技でも、まるで目潰しでもされたかの様な怪我の仕方はおかしい気がする。
___なんて事を思ったその時……背後に誰かがいる様な気配がして、オレは振り返った。
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作者名：レフト | 作成日時：2019年9月16日 20時
