43話 ページ49
メインの食事が終われば、最後に運ばれてくるのは見た目も鮮やかなスイーツだ。
人によっては、ある意味一番のメインとも言える花形だろう。今この場には、その手のタイプは一人も居ないけれど。
それどころか、食事が終わりに近付くにつれ、会話が減り重苦しい空気になっていくのは気のせいだろうか？
「────さて、そろそろ食事も落ち着いてきたところですし。少しお話いいですか？A」
「……いいけど。どうしたの、改まって」
「オレらさぁ、Aに一つ聞きたいことがあるんだよねぇ」
ずい、と身を乗り出したフロイドの顔が迫ってくる。
テーブルを挟んでそれなりにあったはずの距離は、彼の長い背丈の前では何の役にも立たないらしい。
「Aさあ、オレらに隠してることあるでしょ？」
「隠してること……？」
「ええ。貴方の性格は存じていますから、僕達のことを信用していないわけではないと理解はしているのですが……それはそれとして、秘密というのは暴きたくなるものでしょう？────ましてや、あなたの事なら尚更」
含みを持たせて笑うジェイドの顔は、何処か鬼気迫るものを感じる。
こうして戯けて見せてはいるけれど、必死な様子が拭い切れないようである。
フロイドもまた、力任せに聞き出すような真似はしないけれど、その表情は何処にも温かみが感じられない。
今すぐにでも色良い返事が得られないのなら、例え僕相手でも何をしでかすか分からない程だ。
(僕が二人に隠していること、か)
思い当たる節は、一つだけあった。
それは確かに、二人にも一切話したことの無かった僕のトップシークレットだ。
かと言って、今も絶対に話したくないのかと聞かれれば、僕は首を横に振る。
正しくジェイドの言う通り、絶対に壊れないと誰もが謳う石橋すらも叩いて渡る、僕のそんな性格が結果的に口外することを許さなかっただけで、二人が僕の秘密をお構い無しに言いふらすなどとは勿論夢にも思っていない。
「────いいよ。教えてあげるよ、僕の秘密」
二人がデートだ何だと言い出した理由を、この時僕は漸く理解した。
それはきっと、友達なんて曖昧なものじゃなく、くっきりと跡を残すような重みを感じたくて────僕にも感じさせたくて、二人がわざと選んだ形だったのだろう。
彼らの愛に応えた証を、二人は今僕に求めている。
────だから僕は、それに見合うものを返してあげるのだ。
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藤川秋(プロフ) - ララーサさん» ララーサさん、はじめまして。ご指摘ありがとうございます！確認したところ、確かにフロイドの方が正解でした。完全に見逃してたのでありがたいです。感想もありがとうございます、とても励みになります！ (2020年11月23日 21時) (
レス) id: 93e3af9b0c (このIDを非表示/違反報告)
ララーサ - ↓の9話です！ (2020年11月23日 18時) (レス) id: 60e0ce23dd (このIDを非表示/違反報告)
ララーサ - 僕の勘違いだったやごめんなさい。主人公とジェイドくんのやり取りで、「僕とジェイドが?」という所「僕とフロイドが？」だと思います。間違っていたらごめんなさい！あと、この物語とても面白いです！頑張ってください！ (2020年11月23日 18時) (レス) id: 60e0ce23dd (このIDを非表示/違反報告)
藤川秋(プロフ) - イルカの生姜焼きさん» イルカの生姜焼きさん、初めまして。主人公は基本的に、いい子ではなく、少し人間味の欠けた人物に敢えてしようと思っていましたので、そう言っていただけるととても嬉しいです！素敵なコメントと応援をありがとうございます。 (2020年6月14日 14時) (レス) id: d1eae4f705 (このIDを非表示/違反報告)
イルカの生姜焼き(プロフ) - 18話の一番最後で主人公の"興味がないことだ"に対して凄いヴィランぽいっと思いました。上から目線になってしまいすみませんがこれからも頑張って下さい。 (2020年6月14日 11時) (レス) id: ca6db90150 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藤川秋 | 作成日時：2020年5月26日 15時
