18話 ページ20
何処からともなく、ごくりと唾を飲むような声が聞こえる気がする。
それぐらいに、男達の顔には緊張の色が見て取れた。
当然と言えば当然だ。
もし僕の言葉が本気なら、彼らが失態を犯した瞬間に目の前の男は死ぬのだから。
そうでなくても、こうして首筋に当てている以上、下手に取り押さえれば万が一ということもあり得る。
それらを考慮した上で、瞬時に僕を無力化できるだけの力があるのかと言うと、彼らには到底期待できそうにない。
「お前……本気なのか？」
「さあ、どうだろうねえ？僕は別に、君たちの生き死にとか、僕の将来の行く末とか、そういうのには大して興味がないからね。────本気にしても、全然構わないよ？」
射抜くように言葉を口にすれば、かろうじて気を保っていた男達も、ついに顔を青ざめさせた。
己すらも、どうなろうとも構わない。
そう言われてしまっては、自力で打開する以外に、取りつく島など何処にもないからだ。
きっと、少しばかり痛い目を見せてやればいいぐらいに思っていた筈だろうに。
まさか他人の生死を握る羽目になるなどと、一体誰が想像できただろう？
────少なくとも、ここにいる男達には出来なかったことだ。
「まあ、安心しなよ。流石に、殺しはしないから。────少なくとも、僕はね」
ふと、後ろの方に視線を向ける。
こつこつと、誰かが廊下を歩いてくる音が聞こえる。
────ああ。思ったより、早く来てくれたみたいだ。
「ただ、彼らがどうかは知らないけど」
「……あ……ああ────！」
敵の目を欺く暇があるのだから、助けだってきっちり呼ぶに決まっている。
念には念を。
僕にとっての、最善の一手を。
彼らにとっては────最悪の一手を。
「なんか面白そうなことしてんじゃん？なぁ……オレも混ぜろよ」
「僕としても、是非とも参加させていただきたいところですね。せっかくご招待いただいたのですから」
ねえ、A。
そうにこやかに笑うのは、ジェイドの方だ。
────尤も、笑っているのはあくまで表面だけの話だが。
「彼に手を出すということが、どういうことなのか。勿論、承知の上での行為なのですよね？」
「まじ、笑えねぇわ。ムカついてしょうがねえからさぁ、消えてくんない？」
このまま僕が去れば、ここは一瞬で地獄と化すことだろう。
────でも、それも、僕にとっては興味がないことだ。
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藤川秋(プロフ) - ララーサさん» ララーサさん、はじめまして。ご指摘ありがとうございます！確認したところ、確かにフロイドの方が正解でした。完全に見逃してたのでありがたいです。感想もありがとうございます、とても励みになります！ (2020年11月23日 21時) (
レス) id: 93e3af9b0c (このIDを非表示/違反報告)
ララーサ - ↓の9話です！ (2020年11月23日 18時) (レス) id: 60e0ce23dd (このIDを非表示/違反報告)
ララーサ - 僕の勘違いだったやごめんなさい。主人公とジェイドくんのやり取りで、「僕とジェイドが?」という所「僕とフロイドが？」だと思います。間違っていたらごめんなさい！あと、この物語とても面白いです！頑張ってください！ (2020年11月23日 18時) (レス) id: 60e0ce23dd (このIDを非表示/違反報告)
藤川秋(プロフ) - イルカの生姜焼きさん» イルカの生姜焼きさん、初めまして。主人公は基本的に、いい子ではなく、少し人間味の欠けた人物に敢えてしようと思っていましたので、そう言っていただけるととても嬉しいです！素敵なコメントと応援をありがとうございます。 (2020年6月14日 14時) (レス) id: d1eae4f705 (このIDを非表示/違反報告)
イルカの生姜焼き(プロフ) - 18話の一番最後で主人公の"興味がないことだ"に対して凄いヴィランぽいっと思いました。上から目線になってしまいすみませんがこれからも頑張って下さい。 (2020年6月14日 11時) (レス) id: ca6db90150 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藤川秋 | 作成日時：2020年5月26日 15時
