ひとりぼっちだった僕らだから (ページ5)

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ろくろ首sind

「あ、タヌキだ」

「ヒィ！」

やっぱり、びっくりしちゃうよね。

ぼくは自分の種族が嫌いだ。

偏見だけで誰も近付かない。

脅かすつもり無いのに、首が勝手に伸びちゃうだけなのに。

「ろくろ首さん」

タヌキは、おちついたのか、ぼくに声をかけた。

「は、はい。」

タヌキは寂しそうな顔をしていた。

もしかして…。

「ボク1人なんだ。人間界に言ってもタヌキだからって捕まえられる。仲間も人間に殺られちゃったんだ。」

初対面なのに仲間の事を。

なら、ぼくも。

「ぼくは、普段お化け屋敷で働いてるんだけど、毎回怖がられちゃう。人間って脅かされる為にお化け屋敷入るのに、脅かしたら泣いて逃げるなんて…。寂しいよ。人間はぼくのことを偏見だけで決めつけるし、他の妖怪も友達になってくれないんだ。」

ぼくはタヌキが自分の事教えてくれたから、ぼくもと思って話した。

引かれるかな…。

「…。ボクと友達なろ。」

え！

「いいの？」

「うん。ボクも友達が欲しかったからさ。」

嬉しい。

「ありがとう。これからよろしくね。タヌキさん」

名前知らないから、そう呼ぶしかないよね。

「トド松」

「え？」

「ボクはタヌキさんじゃなくて、トド松。気軽に呼び捨てしてくれていいよ。」

「じゃあ、改めて。よろしく、トド松。おれは十四松だよ。」

「十四松…。おぅ！よろしく。」

ぼくらは人生初の握手を交わした。