30%. 君の世界 / snr ページ42
言った瞬間にハッとして、物凄い後悔に見舞われた。
何も悪くない彼女を勝手にキツイ態度で困らせて、
そして彼女が一番苦手であろう、言葉が出ないことを急かすようなマネをしたこと。
表情からスッと温度がなくなり、「………ごめ、なさい」と消え入るような声をやっと絞り出した彼女が、立ち上がり襖に手をかけた。
＿＿＿＿このまま行かせたら、本当に終わる。
そんな警鐘が脳内に鳴り響くと同時に＿＿＿＿気づけば折れてしまいそうなほど華奢な体を、後ろから抱き締めていた。
*
「セ、」
「待って。ごめん。ほんまに………っ、ごめん……」
ぎし、と彼女の体が強張るのがわかった。でも、離してやれない。
彼女の肩口に額を寄せて項垂れる。なんなんや、俺はほんまに。なんでよりにもよって、
「………なんでAさんの前やと、器用な俺で居れへんねん………」
彼女が少し息を呑むのを感じた。
もぞりと動くのが腕から抜け出そうとしているのだと思い拘束の力を強めると、「も、戻りません、から」と少し焦ったような声。
「……お顔見て、話したいです。センラさんがなんでつらそうなのか、ちゃんと、わかりたい」
ついさっき自分をひどく傷つけてきた男に、どうしてこの子はこんなに優しくできるのだろう。
二人して襖の前で向き合って座りこむ。俺を不安にさせないためなのか、遠慮がちに両手で俺の手を包み込む彼女に、愛おしさは溢れて。
「＿＿＿＿好きや」
不器用で、生きづらそうな子やなあと思った。それでも一生懸命な様子は、純粋に応援したくて。
傷つけようとする輩には腹が立ったし、穏やかに、幸せに過ごしていて欲しいと思った。
＿＿＿最初はそれだけだったのに、気付いたら自分の横で、と言う気持ちがついてきて。
『それは��愛��に聞こえるよ、俺には』
(はは……どこがやねん)
誰の隣だったとしても、幸せを願えるのが愛だ。これはそんな綺麗なものじゃない。
だって、他の奴らのとこで楽しそうにしてるとこ見て、俺は気にくわんかった。
気持ちを受け止めなかったのは自分なのに、勝手に寂しさを感じて、嫉妬して。
「……そんなんなるまで、気づけんくって」
学生のような、胸が騒いで落ち着かないような激しいものではなくて、ゆったりと、じわじわと育つ恋心もあるのだと初めて知った。
彼女の小さな手をそっと握り返す。
「さっきは……ほんまに、急かしてしまってごめん」
色々できるようになる君が離れていく気がして、焦って、八つ当たりして。
あんな事をする前に、俺にはちゃんと、言わんとあかんことがあったのに。
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シオン - そ、そうだったんですね！続きが読めてとてもハッピーです！これからも幸せな2人のやりとりをひっそりと楽しませていただきます！ (2023年2月3日 19時) (
レス) @page46 id: 3ff5e2db98 (このIDを非表示/違反報告)
なん(プロフ) - 更新めちゃくちゃうれしい！くっついた2人がこれからどうなるのか楽しみです！！ (2023年1月31日 12時) (レス) @page46 id: 30f41c462b (このIDを非表示/違反報告)
ありぃ(プロフ) - (///◇///)ﾄﾞｷﾄﾞｷ (2023年1月30日 9時) (レス) @page46 id: a7d68907fb (このIDを非表示/違反報告)
打楽器(プロフ) - シオンさん» お久しぶりですすみませんでしたぁ(スライディング土下座)！！！ちょーっとプライベートが繁忙しておりました…うう………😭終わってないです！終わる時はあとがきまで書く所存なので！紛らわしくてすみません💦 (2023年1月29日 12時) (レス) id: fbabe361fc (このIDを非表示/違反報告)
シオン - ハッピーエンド？終わった、のでしょうか？（毎回トキメキ溢れ技させていただいてます）仕事終わりの娯楽の一つです、うまうま (2023年1月25日 20時) (レス) id: 3ff5e2db98 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：打楽器 | 作成日時：2022年9月19日 10時
