▽ (今年の抱負は警戒心 / snr) ページ30
『一人なので、大丈夫ですよ』
言葉の意味を理解した直後にはもう、「ごめん、おれちょっと出るわ」とメンバーに告げていた。
やけに寒いなと思ったらマフラーも手袋も身につけていなくて、焦りすぎやろと苦笑する。
人混みの中で見つけられるだろうか____そんな心配も間もなくのこと。
華やかな着物を見に纏った彼女の姿は、俯いていたにもかかわらず、しっかりと俺の目を捉えたのだった。
*
「………これ以上、呆れられたく、ない」
背後から聞こえた声があまりにも消え入りそうで、振り向いた。
(____え、？)
俯く彼女は唇をキュッと結んで、鼻の頭は少し赤くて。目元まではっきりとは見えないが____まさか、泣いとる？
気づけば無意識に彼女の顔を両手で包み、顔を上げさせていた。
「！えっ、」
「____あ、ごめん………泣いてんのかと、思って」
見開かれた瞳からは確かに涙は溢れていない。鼻が赤いのは寒さのせいか。
泣いてないです、というか細い声に我に帰り、うん、そやな。と手を離す。
「あー………言っとくけどな、確実に悪いんは、絡んできたヤツらであって。別に、Aさんを責めたいわけじゃないねんで」
「………」
「………いや、まあ言い方キツかったよな。説得力ないわ、ごめん。」
彼女を連れ出してから自分の態度を思い返し、頭をガシガシと掻く。あれじゃ怒っていると思わせて当然や。好きで絡まれているわけでもないのに。
………けれど、これだけはちゃんと、分かってもらわんと。
「あのな、」
「はい…」
「………心配やねん。Aさん、可愛いから」
自分の容姿が、人目を惹きつけるものだと理解してほしい。
できれば、中身もなんだか、男心をくすぐる性質だということも。
「………怒ってない、ですか…？」
「うん、怒ってへんよ。…でも今度からは、もうちょっと警戒してな」
親でも彼氏でもないのに何様やねんという感じだが、素直な彼女は「心配かけて、ごめんなさい。ありがとうございます」と、ホッとした表情を見せた。
「………よかった…。せっかく神様にしたお願い、もうだめになっちゃったかと思った」
「お願い？」
「はい、」
��センラさんに、もっと近づけますように��って。
はにかみながら、今年もよろしくお願いします。とお辞儀をしてくる彼女には、やっぱりもう少し反省してもらう必要があったかもしれない。
______やから、そーいうのが危ないんやって。お嬢さん。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 494人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
シオン - そ、そうだったんですね！続きが読めてとてもハッピーです！これからも幸せな2人のやりとりをひっそりと楽しませていただきます！ (2023年2月3日 19時) (
レス) @page46 id: 3ff5e2db98 (このIDを非表示/違反報告)
なん(プロフ) - 更新めちゃくちゃうれしい！くっついた2人がこれからどうなるのか楽しみです！！ (2023年1月31日 12時) (レス) @page46 id: 30f41c462b (このIDを非表示/違反報告)
ありぃ(プロフ) - (///◇///)ﾄﾞｷﾄﾞｷ (2023年1月30日 9時) (レス) @page46 id: a7d68907fb (このIDを非表示/違反報告)
打楽器(プロフ) - シオンさん» お久しぶりですすみませんでしたぁ(スライディング土下座)！！！ちょーっとプライベートが繁忙しておりました…うう………😭終わってないです！終わる時はあとがきまで書く所存なので！紛らわしくてすみません💦 (2023年1月29日 12時) (レス) id: fbabe361fc (このIDを非表示/違反報告)
シオン - ハッピーエンド？終わった、のでしょうか？（毎回トキメキ溢れ技させていただいてます）仕事終わりの娯楽の一つです、うまうま (2023年1月25日 20時) (レス) id: 3ff5e2db98 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：打楽器 | 作成日時：2022年9月19日 10時
