9%. 人という字を書くよりも ページ12
「Aさん歌う前にストレッチする人？」
「あ、はい…します」
「おしゃ、俺もする〜10分後くらいに始めよか」
そう言ってテキパキと準備を始めるセンラさんに続いて、私も床に座り身体を伸ばす。
呼吸を整えて、横隔膜を開いて……、………。
いや、なにこの展開。
*
初めてシアターパーティをした配信中、再びLINEの通知が来た時には驚いて変な声が出るところだった。「コラボしませんか」、なんて、まさか言われるとは思わなかったから。
断る理由は無論なく、曲は話し合って『ウミユリ海底譚』に決定。ハモリを多くするならば、一度は一緒に録った方がいいだろうと、集まったのが本日。
(………き ん ちょ う す る が ？)
だって、センラさんは浦島坂田船で録る時、いつも真っ先に録り終わるって聞いたことある。私なんて何テイクも録り直すのに。家でめちゃくちゃ練習はしたけど、私のせいで録音押したらどうしよう。
「____さん、Aさん？」
「！はいっ」
ぐるぐる考えていたら、センラさんに呼ばれているのに気が付かなかった。もう10分経っちゃったんだ、いきなり待たせてるじゃん私。
すぐ準備します、と立ち上がろうとしたら、「ん〜〜」と逆にセンラさんが私の前で両膝を抱えるように屈み、首を捻った。
「Aさん、なんか今日硬くない？」
調子悪い？大丈夫？と心配してくれるセンラさん。
なに考えてるかわかんないと言われる私の様子の違いに気がついてくれるなんて、流石スパダリ。
「…きんちょう、してます」
バレてるのなら取り繕っても仕方がない。体調不良と思わせて心配をかけるより、白状した方がいい。
「緊張！？なんで？(笑)」
なんでって、そんなの。
「憧れてる先輩と、初めて録るから………」
がっかりされたくないし、という気持ちを込めて正直に伝えれば、彼から「ん゛ん、」と小さくうめき声が聞こえた気がした。
数秒、膝を抱える腕に顔を埋めていた彼は、パッと顔を上げ「あのな、」と切り出した。
「俺、別にオーディションの審査員とかやないし、録り直しとかくらいじゃ怒らんからさ、」
「はい、」
「うん…まあ、せっかく��憧れ��って思ってくれてんやったら_____��憧れの人とレコーディングできて嬉しい！��って、楽しんでもらいたいな」
アーモンド型の瞳をゆるめた穏やかな笑顔を見て、ふ、と体の強張りが解れるのを感じた。
_____私の憧れの人は、緊張をほぐすのも上手らしい。
10%. 効果絶大→←8%. 鈴を転がす声音の君へ / snr
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 494人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
シオン - そ、そうだったんですね！続きが読めてとてもハッピーです！これからも幸せな2人のやりとりをひっそりと楽しませていただきます！ (2023年2月3日 19時) (
レス) @page46 id: 3ff5e2db98 (このIDを非表示/違反報告)
なん(プロフ) - 更新めちゃくちゃうれしい！くっついた2人がこれからどうなるのか楽しみです！！ (2023年1月31日 12時) (レス) @page46 id: 30f41c462b (このIDを非表示/違反報告)
ありぃ(プロフ) - (///◇///)ﾄﾞｷﾄﾞｷ (2023年1月30日 9時) (レス) @page46 id: a7d68907fb (このIDを非表示/違反報告)
打楽器(プロフ) - シオンさん» お久しぶりですすみませんでしたぁ(スライディング土下座)！！！ちょーっとプライベートが繁忙しておりました…うう………😭終わってないです！終わる時はあとがきまで書く所存なので！紛らわしくてすみません💦 (2023年1月29日 12時) (レス) id: fbabe361fc (このIDを非表示/違反報告)
シオン - ハッピーエンド？終わった、のでしょうか？（毎回トキメキ溢れ技させていただいてます）仕事終わりの娯楽の一つです、うまうま (2023年1月25日 20時) (レス) id: 3ff5e2db98 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：打楽器 | 作成日時：2022年9月19日 10時
