46. 玄関先の夢うつつ ページ13
供給過多で溺れそうになる思考も、「酔ってるから」と思えば少しだけ落ち着けられた。
きっと、酔うと陽気+甘えん坊になる人なんだ。酔っ払いの行動に意味なんて求めちゃダメ。
ーーーだから、私が今彼の腕の中にいることも、深い意味なんてないはず、なんだ。
*
「わっ…！？」
突然勢いよく引かれた腕に踏ん張りが効かず、彼の胸にダイブ。かくいう彼も、アルコールに侵された身体では受け止めきれなかったのか、廊下に尻餅をつく形で私ごと倒れた。
初めにきたのは心配。けれど体を起こそうとした動きは、少し苦しいくらいに私を閉じ込める彼の腕に封じられた。
(え、え、これなに？夢？幻？)
いやでも倒れた時に打った膝は確かに痛かったから、これは現実だ。いくら相手が酔っ払いでも最推しかつ想い人、平然でいられるわけがない。
「………心臓すげー…」
「っ！」
言われなくてもわかる。どっどっどっ、と、動物みたいに早い鼓動が耳の奥に響いている。
「さかたさ、酔いすぎです。は、はなして」
「…無理。Aさんが悪いんよ」
酔ってるの分かってんのに、ノコノコ来てくれちゃって。
こんな時間に息切らしてさ。
そんで、あんな可愛いことまで言うてきて。
「俺ってそんな、無害な男に見えてんの…？」
吐息混じりの声が耳のすぐそばで聞こえて、さらに体温が上がる。そんな風に思っていたなんて、想像もしなかった。
「無害、っていうか……そんな、あり得ない、から」
「なにが？」
「、、、っ、だって、なんか……、
坂田さんが、私にドキドキしたみたいに、聞こえる…」
自分で言うのはひどく自意識過剰に思えて、蚊の鳴くような声しか出ない。そんな私と対照的に、彼はクスッと笑った。
「聞こえるってか、現在進行形でドキドキしてるんやけど？」
彼が腕を少し緩めて、胸に押しつけるようにしていた私の顔を覗き込む。顔にかかった私の髪をそっと耳にかける指先は、少し震えていた。
平気で触れてるわけやないって、言うたやん。
Aさんやから、可愛くて堪らんくなって、今こうなっとるんやで。
「俺が声聞きたくなるんはAさんだけやから。
ーーだからAさんも、俺以外のヤツ迎えに行ったりせんといて」
どんな仲良いやつでも…センラでも。お願い。
自分を見つめる優しい瞳と嘘みたいな言葉たちに、ほろりと涙がこぼれた。
言葉が出ない代わりにしっかりと頷く。私だって坂田さんだけなんだよ、と伝わるように。
「約束な」と笑っておでこに降ってきた優しいキスを、どうか明日の彼も覚えていますように。
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ka(プロフ) - えーん待ってました(；＿；)本当に天才です…新年早々に素敵なお話ありがとうございます(；＿；) (2023年1月3日 0時) (
レス) @page26 id: 4fa63bbb3b (このIDを非表示/違反報告)
打楽器(プロフ) - わさん» もうや〜っとくっついたので（焦ったいのは自分のせい）笑、存分にイチャイチャしてもろてぇ！！という気持ちが爆発しております(◜ᴗ◝ )更新遅いのにこうして楽しんでくれる皆様のおかげで頑張れます〜！いつもありがとうございます！ (2022年11月22日 18時) (レス) id: 40402a2351 (このIDを非表示/違反報告)
わ - 焦れったい…もどかしい…と思って読んでいたのに唐突な甘み成分の供給が過多でニマニマが止まりません(◜ᴗ◝ )一生見守っていますので無理のないペースで更新よろしくお願い致します🙏 (2022年11月22日 15時) (レス) id: 1f8cfce64b (このIDを非表示/違反報告)
ソテツ(プロフ) - 打楽器さん» お役に立てたようで何よりです！ (2022年11月9日 20時) (レス) id: 6edb471501 (このIDを非表示/違反報告)
打楽器(プロフ) - ソテツさん» いえいえ！ありがとうございます！これまでも漢字で「〜辛い」ってしちゃってるとこあった気がするので、見つけ次第ちょこちょこ直します🤭！ (2022年11月9日 11時) (レス) id: fbabe361fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：打楽器 | 作成日時：2022年8月8日 23時
