#2) つり目のあの子 ページ48
それはひきフェスのメイクスタッフとしてお呼ばれした時のこと。
メイク部屋で準備をしていると、廊下から聞こえてきたまふまふさんと坂田さんの会話。
「今日の衣装さん、さかたんの好きなつり目美女だよ」
「あー!あの可愛い人ね」
「………」
そういえば、そんな話もありましたね。
*
「な〜Aちゃ〜ん?どーしたーん?」
何怒ってるんー?と聞く彼に、何も怒ってないです、と答える私。
ライブも終わり家に帰ってきたけれど、まふまふさんとの会話にモヤモヤしてしまっているのが態度に出ていたみたい。
そのまま話すのも情けなくて、でも隠してうまく笑うこともできなくて、クッションで顔を隠してソファに体操座りしている。
「…とりゃっ」
「!」
「ほら!なんかムスッとしとる!」
男性の力に敵うはずもなく、無理やりクッションを剥がされ顔を見られてしまう。
「なあ、俺なんかした…?」
ごめん、俺アホやからわからん。教えて?と、彼は床に膝立ちになって私の顔を覗き込み眉を下げている。
ああ、困らせちゃってる。
「今日、まふまふさんと、話してるの聞きました…」
「まふと?何やっけ?」
「………つり目の可愛いスタッフさんが居て、嬉しそうだった……」
目を見れない。恥ずかしい。こんな小さなことで拗ねるなんて、きっと子供っぽいって思われた。
坂田さんが何も言わないので、呆れられてるかもと不安になった。恐る恐る彼の方に目を向けるとーー口元を手で覆って、何かを堪えているような表情。
「〜〜〜ごめん、反省せんといかんのに、嬉しいって思ってる」
「嬉しい…?」
「…うん。だって、ヤキモチ妬いてくれたんやろ?」
いつも俺ばっか勝手に妬いてるからな。不謹慎やけど、可愛い。
そう言って私の頭を優しく撫でる彼の表情は、確かに嬉しそうで。
「ごめんなさい。無神経やったね。確かに前に会って綺麗やなって思ったスタッフさんやったけど……
Aが一番に決まっとるやろ」
「……つり目じゃなくても?」
「当然」
うちの子なんでこんな可愛いんやろって困ってるくらいや。
ギュ、と優しく抱きしめながら言われて、ちょろい私の心は浄化されていく。
拗ねててごめんね。呆れないでくれてありがとう。それから、
「………私に聞こえるところでは、言わないでね?」
「……っ、ヤキモチ妬くAちゃん可愛いからまたやっちゃったらゴメン」
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打楽器(プロフ) - ちゃかのさん» ありがとう!!!!😂✨最初の作品で思い入れもあるから一層嬉しい〜〜!いつもありがとう!!🥰 (2022年7月6日 10時) (レス) @page50 id: e8512220c2 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃかの - 101票ー!!!🎉🥳 10.0のままおめでとう殿堂入り!!! (2022年7月5日 17時) (レス) id: 429671251e (このIDを非表示/違反報告)
打楽器(プロフ) - 茶菓さん» うぐ…っ(嬉)普段優しいのに余裕なくなっちゃうの大好物なんです、文才なんてそんな勿体ないお言葉…!励みになりますもっと番外編も増やせるようにしてきますね! (2022年5月24日 8時) (レス) @page47 id: 9be83c3a2a (このIDを非表示/違反報告)
茶菓 - …ん"んっ(悶) 余裕なさそうなのめっちゃ書くのうまいですね、文才ください🙃 嫉妬さかたん番外編ありがとうございます!!! (2022年5月23日 18時) (レス) @page47 id: 68685abacb (このIDを非表示/違反報告)
打楽器(プロフ) - 茶菓さん» わわわありがたいお言葉………!励みになります!お仕事休みの間にたくさん更新しますね!笑ありがとうございます😊 (2022年5月3日 22時) (レス) id: 5b8d76cfc9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:打楽器 | 作成日時:2022年4月10日 5時