七羽 ページ8
私は今、お母様から頼まれたおつかいに出かけ、帰りの菓子を見て回っている。
お団子にしようかな…。
「おじさま！お団子ひとつ！」
「おぅ！西園寺のお嬢さん！あいよ！」
渡されたお団子を一口。うん、美味しい。
「お嬢様？」
「鬱くん！」
たまたま帰りだったという鬱くんと出会う。彼は美味しそうやね。と言いながら私の荷物を持ってくれた。
その後、他愛の無い話をしながら家に帰ろうとする途中
「ごめん。ちょっとあそこの呉服屋に寄るから先に戻ってもらってもいいですか？」
お荷物は僕がもって帰りますから。すみません。と、呉服屋の中へ入っていく。
もう隣は家であるから、数歩歩けば良いだけなのだが。
「……あそこの呉服屋さんって…」
そっと中を見つめていると、綺麗な女性と鬱くんが居る。その人と仲良さそうに話をしていて。お似合いで。
……嫌だな。私。もう帰ろう。
ーーー
何だか嫌な気持ちになり、部屋に戻り勉強をしようとした。
まぁ、続かなくて。
ふと鶴を見る。私のことを元気に、か。
大分前に貰った綺麗な折り紙を引き出しから取る。
鬱くんに教わったことを思い出して。
「……やっぱりまだ不格好だな。私の鶴」
綺麗な鶴と並べると全然だけれど、前よりは上手くなったかな。
私はその鶴に、鬱くんとずっと一緒に居たい。と書いた。
「……私、何をしているのかしら。」
これではまるで、恋文と変わらない。
いけない、しまっておこう。
引き出しを開け、少し奥まったところにしまった。
部屋に向かうと今日は一段と賑やかで。
ちらりと中を見ると金色の髪色の方が。
「…あの？」
「おぉ！この人がAさん！いやぁべっぴんさんやなぁ！こないべっぴんさんは初めてや！」
「あ、ありがとうございます？」
「おい捏島お嬢様が驚いとるやないか。やめろ。」
「あぁ！悪いな！俺は捏島や！よろしゅーな！」
この人は、鬱くんのお友達？
「驚かせてしまいましたね。お嬢様。あの人は僕の友人です。旦那様と商業についての話がしたいと言って聞かないので渋々…」
「なるほど？」
良く見るとお父様も楽しそうにその人に話をしている。
食事を交えながら、捏島さんと話しているとお父様が
「いやぁ捏島さんは話のわかる学生さんだ！どうや、うちの娘と、如何かな？」
「はぁ！？」
なんでこんな出会ったばかりの人と！悪い人ではないだろうけど！
でも捏島さんはきょとんとして
「え？鬱と付き合ってるんちゃうんか？」
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作者名：ほたて | 作成日時：2022年8月25日 22時
