15話 ページ15
結局その日は想いを伝えることが出来ないまま、家に帰るしかなかった。
次の日。
「あっ…ゾムくん」
「…おはよう。A」
「おはよう」
ゾムくんはあの日みたいに笑いかけてくれた。
少しずつ諦めてきた心もまた、彼への想いが沸々とよみがえってきて。
あぁ、やっぱり彼が好きだなぁ。
ーーー
偶々会った大くんとロボロくんと久々にご飯を食べる。二人に、また仲良くなってくれたよ。と伝えるとホッとしたように良かった。と言ってくれた。
「告白してもええんちゃうか。蟠りも無くなったんやろうし。」
「うん。でも中々良いタイミングがなくて…」
やはりモテモテのゾムくんは皆に引っ張りだこで。大体一人でいない。
「もうそこは、袖をくいってして話があるの。今良いかな？って言えばそんなんイチコロやて。」
「えぇ…出きるかなそんなこと……」
するとそれまで黙っていたロボロくんが口を開く。
「俺から話しとこうか？」
…確かに。ロボロくんから話してくれた方がきっと効率的かもしれない。でも。
「ううん、大丈夫。勇気を出して話しかけてみる。」
「…そーかぁ」
少しロボロくんは悲しそうに笑った。
いつだって私の事を考えてくれ、心配してくれたロボロくん。でも、もう大丈夫。
「あ、ゾム来たで。」
ふとそちらの方向を見ると、ゾムくんがシャオロンくんと話しながら部屋に入ってきていた。
すると、一人の女の子がゾムくんに話しかけている。可愛い子だな……
「おい何しとんねん！はよ行かんかい！」
と、大くん。少しだけ背中を押される。
「…A」
ふと、ロボロくんに手を取られる。
「……俺はいつでもAの味方や。頑張ってな。」
「うん！ありがとう！二人とも！」
私はゾムくんの方へと駆け出す。
「ゾムくん！」
「A？」
あ、やばい。声が大きすぎて、皆振り向いてる。やばいどうしよう…。
奥の方に大くんとロボロくんが、がんばれ！って口パクで伝えてくれてる。
話したいことがあります…。話したいことがあります。
……よし！
「あ、あの！は、話したいことがあります。」
「？うん。何？話したいことって」
あ、あれ？もしかして私、ここで話さないといけないみたいになってる？
「あの、その……」
「いくらでも待つから、ええよ。どうしたん？」
優しく笑うゾムくん。
ど、どうしよう！次の言葉が、見つからない……
「あ……あの……」
ダメだ…私。折角みんなに応援してもらったのに…
「好き」
え？
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作者名：ほたて | 作成日時：2022年7月5日 8時
