1年A組の中原さん (ページ4)

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参限目ページ4

「お」

男の子がそう声を零した。彼から目線を外そうとすれば、私と正反対にじぃと目線を私にぶつけてくる。それは、視線を外しても尚してきた。

凄い見てくるねと苦笑をしつつ、彼にもう一度視線を送った。

「何かついてるかい？ああ、もしかして朝、朝食代わりに食べた猪口令糖(チョコレート)が口の周りについてるかね」

「いや、ただどこかで見た顔(・・・・・・・)だと思っただけだ。多分気のせいだと思う。わりぃ」

少年のその言葉に自身の肩がぴくりと揺れたのが分かった。だけども、周りの子たちは気づいていないようで安心して一息つく。

そして、もう一度笑いながら「そうかい。恥をかかなくてよかったよ」といった。
そんな会話を少年としていると、少年が何かを思い出したかのような表情をして私にずいっと手を差し伸べる。

「ん？何かな？」

「轟焦凍だ。名前いってないだろ」

「ああ、そういうことかい」

轟くんから差し伸べられた手を握り返して、へらりともう一度笑った。
八百万くんと轟くんと喋っていると、相澤センセイの声が耳に入ってきた。

「そうだ。言い忘れていたが、Aは記憶喪失ということでここ(雄英)に身を寄せることにった。まあ、深くは聞かないでやれ。あと、質問とかは授業終わってからな」

相澤センセイは言って、授業始めんぞと一言言った。
その言葉に、八百万くんも轟くんも、周りの子たちも教科書をいそいそと取りだして授業の準備を始めだした。

私も、さっき先生からお借りした教科書と筆記帳(ノート)を取りだす。

ちらりと真剣な表情で黒板に白亜(チョーク)で書き込み始めた相澤センセイの顔を盗み見た。

せんせぇ、嘘ついちゃってごめんね。
まあ、とうの昔に罪悪感という虚しくもちっぽけな偽善者の塊だなんて捨てたのだけれど。