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パチリ､と何か音がした訳でもないのに目が覚める｡
隣のベッドを見れば､オスマンがぐっすり眠っているようで､微かに寝息が聞こえてくる｡
ヴィリス以外はこの部屋なのだが､何故か寝息が少ない｡
「…ぐるっぺん？」
壁側から､俺､オスマン､トントン､グルッペンの順に眠っていたのだが､グルッペンの姿が見えない｡
何故？
「…どこ？」
のそりとベッドから降りて､部屋を見渡す｡
ベッドにはいない､机にも向かってない｡
どこ？
どこにいったの？
「…そと､？」
キィ､とまるで扉が呼ぶように音を立てる｡
微かに開いた扉の隙間に､グルッペンが今日来ていた黒い上着が落ちているのが見えた｡
そして､微かに香る他人の匂い｡
「…」
そう思った時か､その前なのかは分からないが､俺は走り出していた｡
グルッペンの匂いを頼りに､どこかへと､獣のように走っていた｡
「ぐ､ぅ…！」
「動くなよ…あーあ､ガキでこんな顔が良いとか､理不尽だよなあ？」
「全くだな｡部屋にいた糸目のガキも背の高いガキも整ってたしなあ」
誰かに触れられた気がして目を覚ますと､俺は軍の奴に捕まっていた｡
何かをやらかした覚えはない｡
つまり､こいつらの､戯れ？
「あーでも､少将も良いよなぁ」
「婚約者かいたって話だし､経験はありそうだよなあ」
「ッ…！！」
「おっと､怒るなよ」
大切な家族のことを馬鹿にされて､怒らない馬鹿が何処にいる｡
それに､姉さんはお前らの上司だろうが｡
どうしてそんな巫山戯た事が言えるんだ｡
「でもまぁ､俺らの目的はあの白いガキだから｡本気で思ってねえよ」
「…」
「彼奴､まだ9つなんだってな｡それなのにあの背丈とか､歪にも程があんだろ」
「噂じゃ､薬とか投与されてたらしいぜ？そりゃあ､あんな気味の悪い姿にもなるさ」
ふつふつと､腹の底からドス黒い怒りが湧き上がってくる｡
ギギの事を馬鹿にするな｡
あの子は､ギギは歪なんかじゃない､気味なんて悪くない｡
強くて､優しくて､純粋で｡
俺たちの大切な家族なんだ｡
怒りが頂点に達して､姉さんに渡されたある物を押そうとした瞬間だった｡
「 み つ け た 」
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作者名：東の番長 | 作成日時：2019年6月3日 7時
