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自覚 ページ29
「…あんな､ギギ」
兄さんに渡された冷たいタオルで顔を拭っていると､鬱は俺の手を握りながら話し始める｡
周りの皆は､リビングに散り散りになっていたけどこちらの話を聞いているようだった｡
「悪い事って言うとったけど､あれ別に悪い事やないで？」
「…ｸﾞｽﾞｯ」
「ほんまほんま｡やって､彼奴らが暴力振るおうとしてきたから､ギギは"守って"くれたんやろ？」
「…」
「なら､別に自分を責める必要なんてないやん」
ぽすぽすと､鬱は俺の頭を撫でてくれる｡
鬱の顔を見ると､視線が合い､へにゃりと笑った｡
「やから､ありがと､ギギ」
「…ん"､ん…」
こくこくと首を縦に揺らすと､鬱は嬉しそうに笑みを深めて俺の頭をわしゃわしゃと撫でた｡
それが嬉しくて､思わずもっと､と催促してしまった｡
「なんや､ギギ猫みたいやなあ」
「ん"…」
「声ガラガラやないかい」
傍にいたシャオロンと､シャオロンと話していたコネシマが話しかける｡
けど､俺はひとつ返事で返していた｡
これが､きっと俺のしあわせ､なんだ
だから､
ーそうだね､君は強いからー
ーそれを傷付ける為じゃなくてー
ー守る為に使える日が来るといいねー
いつの日か､俺の頭を初めて撫でてくれた人が頭に思い浮かんだ
その人は､今､どこで何をしているのだろうか
俺と同じ､白髪で､優しい目をしていた
あの軍人は
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作者名：東の番長 | 作成日時：2019年6月3日 7時
