外出：1 ページ19
朝は何事もなく起きた｡
そして､今は皆で朝食を食べていた｡
まだそんなに食べることが出来ず､大半を残してしまったが､ロボロとゾムが食べてくれた｡
「さて､皆｡ちょっと話がある」
皆が食べ終わった頃､ヴィリスが立ち上がり話し始める｡
「今日から1週間､休暇を貰った｡その間､ギギに必要な物を買ったり､色々な事を教えてあげたいと思っているんだが､どうだ？」
それに皆は一斉に賛成の意を表した｡
正直､欲しいものと言われても思い浮かばない｡
「…」
「ギギ！」
「？」
隣に座っていたチーノがぴょん､と身を乗り出して顔を覗き込んでくる｡
問うかわりに首を傾げると､チーノは嬉しそうに笑いながら言った｡
「いっぱい美味いもん食おな！」
「…ｺｸﾝ」
頷くとチーノは橙色の瞳を細めて､また笑った｡
「うーん…これも似合うわねえ…」
「…(ｹﾞｯｿﾘ)」
朝食を食べて準備をすることになった｡
部屋には､ファニーとアルバートと自分しかおらず､ファニーの手には先程まで着せられていた服､その背後には大量の服があった｡
正直､どうでもいいのが本音だ｡
「…動きやすい方がいいんじゃないか？」
「…そうね､慣れないものね」
ファニーはそう言って持っていた服と背後にある明らかに女物であると分かる服を片付ける｡
代わりに､アルバートが数着の服を持ってきた｡
「ギギ｡この中ならどれが良い？」
「…」
差し出されたのは､黒と白の長めのシャツ｡
少し悩んで､白にした｡
次に見せられたのは黒のズボンと赤の細めのズボンと深い青の長いスカート｡
スカートは動きずらそうなので赤のズボンにした｡
それらを着終わると色んなものが乗っている机の前に案内された｡
羽織る物や靴､帽子などの小物？が置いてあった｡
その中から自分は､黒いプラットフォーム(これはよく使っていた)､長めの黒いカーディガンを選んだ｡
「…あの人みたいねえ」
「…そうだな」
「？」
くるりと一回転をしてどこもおかしくない事を確認してもらう｡
どうして､2人が目を細めていたのだろう｡
かなしそうに見えた｡
「おー！ギギ似合ってるやん！」
「…」
ファニーとアルバートに連れられて集合したギギの姿を見て思わず固まってしまった｡
そっくりだったんだ､彼奴と｡
白いふわふわとした髪､眠たげな瞳､無駄な装飾のない服｡
まるで､彼奴をそのまま小さくしたような､そんな姿｡
「…未練がましいな」
ぎこちなく笑い合うギギを見て､私はそう呟いた｡
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作者名：東の番長 | 作成日時：2019年6月3日 7時
