うちの阿部、取り扱い注意。【緑】２

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あの日からたった三日しか経っていないけど、阿部さんからのメールは一切なくなって。すれ違うこともなくなって、あんなに会っていたのはやっぱり阿部さんが会おうとしてくれていたからかもって。
それと同時に不気味だった視線もなくなったし、後も着けられていない。
そうなるといよいよ阿部さんが怪しく感じたけど、今となっては阿部さんだったらいいなって思うようになった。彼なら知ってる人だし、佐久間さんも言ってたから、時々行き過ぎるけどって。その時々だったのかもなって。


「こらー、ボーッとすんな」


コンっとグーで叩かれる。頭を押さえながら振り返ればアキラ先輩だった。あの告白の返事はまだしていない。だから少し気まづい。


「お疲れ様です」
「おう。なあ、今日この後時間あるか？」
「あー、はい。いちおうこれで終わりです」
「なら飲みに行くぞ」
「え！」
「先輩命令な〜」


うわー、こういう時にそれ使うの卑怯だ。とか思うけど、ちゃんと返事しないといけないし飲みたい気分でもあるし誘いに乗る事にした。

予定より時間が押したけど、先輩は先に予約しておいてくれたお店で待ってるようで急いだ。
指定されたお店の暖簾を潜り中へ入ると、奥の座敷の席から先輩が手を振っていた。
店員さんに「あそこです」と会釈して先輩の元へ行く。


「おつかれさん」
「お疲れさまです。遅くなってすみません」
「大丈夫大丈夫。予定通りに行かねえことなんて承知済みだからな」
「さすが先輩ですね」


先に先輩が頼んでいたものを摘ませてもらいながら、私も食べものと飲みものを頼む。暫く待って頼んだものが届き改めて乾杯した。


「んで、あれからどうなの？ 大丈夫？」
「あ、はい！ ご心配かけましたが、もう後をつけられてる感じもしないし物もなくなってません」
「そうか良かったな。まだ続いてるようだったら警察に相談行くかって思っててさ」
「いや、そんな大袈裟ですよ！」
「ばーか」

　
ビールジョッキをドンッとテーブルに叩きつけ怒られる。

　
「大袈裟じゃねえだろ。怖い思いしてんのに」
「…………」
「ほんと何んもなくて良かったよ」
「先輩、」


こんなに心配してくれる人にズルズルとしていていいはずかない。ちゃんと今の私の気持ちを伝えなくちゃ。
私がグラスを置いて姿勢を正すと、先輩も飲もうとしていたジョッキを下ろし同じように姿勢を真っ直ぐにする。

＿＿→←▼episode７＿💗

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