__ ページ26
「アキラ先輩、すみません私……」
「あ〜、やっぱり駄目かぁ」
最後まで言わなくても雰囲気で察したらしい先輩は小さく息を吐き、その後はいつものようにガハハと大きな声で笑った。
置いていたジョッキを掴んで一気にそれを飲み干した。
「まあ分かってたんだよ。お前が俺に気がないことくらいな」
「先輩……私、本当に先輩には感謝してます。入ったばかりの頃なにも分からないし、ついて行くのに必死だった。失敗して挫けそうになった時、先輩はいつも頑張れよって寄り添ってくれて、」
『お、冬木の字って読みやすいな。カンペやってみる?』
『なんだよまた落ち込んでんのかよ。大丈夫大丈夫、そんな失敗みんなやってるから!』
『冬木!! お前の企画通ったぞ!やったな!!』
次々と先輩との思い出が浮かんだ。いつでも先輩は居て欠かせない存在なことは確かだったけど、それは仕事上なんだ。
「出来るなら、これからも沢山指導してほしいです。色々教えてほしいです。先輩とは、お仕事で一緒に頑張らせてほしいです」
「………お前意外と酷いよな」
ふ、と鼻を鳴らして「おかわりー」と飲み干したジョッキを置いて枝豆を摘む。
「先輩、」
「俺っていい先輩なんだなぁ。後輩にこんなに慕われるなんてさ」
「え、はい。先輩は素敵ですよ」
「ならいいわ。お前にとっての憧れの先輩で居てやるよ!」
お待たせしましたー、とビールが運ばれてきて、それを一口グビっと飲む。
「憧れではないですけど」
「おーい聞こえてますが?」
「だから尊敬です! 尊敬してる先輩です!」
「はいはい。いいかー、これからもビシバシといくから泣くなよ?」
「ひえっ、ほどほどにしてください」
まだお互いぎこちないけど、きっと時間が解決してくれるのかなって。
今の私は恋愛よりも仕事だ。仕事を頑張ろう。
「おっしゃー今日は飲むぞー」
「駄目ですって! 明日も早いですよ!」
「うっせー!」
「もー!!」
忘れていた。この先輩酔うとしつこいんだった。
…………まあ、今日だけは最後までお付き合いしよう。
2714人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆきんこ(プロフ) - オトノハさん» はじめまして。コメントありがとうございます!どストライクで安心しました😂 本人はこれが通常運転なのです(笑)ありがとうございます😌 (2023年1月5日 21時) (レス) id: 61a2c67a9c (このIDを非表示/違反報告)
オトノハ(プロフ) - ゆきんこさん» はじめまして。💚のお話しを読みたくて辿り着きました。ヤバめな思考(でも本人は至って普通だと疑わない)の💚さん!どストライクです"(ノ*>∀<)ノ今後のお話も期待してます! (2023年1月2日 0時) (レス) @page43 id: 9e00b47958 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - ももさん» コメントありがとうございます😌 ヤバさありますよね😂 いつもすみませんの気持ちで書いてました💦 そうです。主人公一筋なので行き過ぎる😌きっと彼女とじゃなきゃ成立しない恋です😂番外編までありがとうございました! (2022年12月17日 8時) (レス) id: 61a2c67a9c (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - ここの💚さん、時々まじヤバいって思ったけど主人公ちゃんのこと大事にしてくれてるし、彼女もちゃんと扱いがわかってきててにこにこしちゃいました。番外編までありがとうございます(^^)幸せそうなふたりが読めて嬉しい! (2022年12月16日 17時) (レス) id: 26cdd99df2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - miku mさん» コメントありがとうございます!喜んでもらえて良かったです😊 絶対に書くとは言いきれませんが、書きたいことがあったら書かもしれません😌 (2022年12月6日 8時) (レス) id: 61a2c67a9c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆきんこ | 作成日時:2022年10月25日 19時