美しき人の名は太宰。【文スト】

太宰が可愛い服来て町を歩いてたら中原に会った話 ページ14

匿名様リクエスト
「 太宰が可愛い服来て町を歩いてたら中原に会った話 」

ーー
数人の男達が熱っぽい眼差しでただ1人の女を口説いている。


「お姉さん、俺とお茶でもしませんか？」


チャラそうな顔の19歳くらいの男の人。
お茶はしたいけど、恋人に叱られるから駄目だよ。


「いや、僕と！」


愛らしい12歳ほどの少年。
ごめんね。もう犯罪は犯す気は無いんだ。


「好きな物、なんでも買ってあげますよ」


恰幅のいい50代の男性。
愛人は他を当たってくれないかなァ…。


女は、その全て角が立たないようにやんわりと断って歩き出した。


上記の台詞は、他人事のように書いては居るが全て私に向けられたものである。
常日頃より男装を欠かさない私には到底向けられるものでは無いのだが、今日は違う。
女装…基普通の恰好をしているのだ。
それも、世間一般的にも可愛いとされる様な服装で…。

話を遡ると数刻前。


・・


私は、非常に困惑していた。
何故なら同僚である谷崎の妹、ナオミと、社医である与謝野に詰め寄られていたからである。
2人の両腕には抱えきれないほどの大量の衣類(レディース)が。


「与謝野医師、ナオミちゃん。私に何か御用かな？」


いつも通りの胡散臭い笑顔を浮かべ、2人に向きなおる。
…この2人、怖いんだよなぁ…。


「太宰ィ、アンタ、女だったんだって？折角綺麗な顔してるのにそんな恰好してるだなんて勿体無いじゃないか」


「そうですよ！お綺麗なのに勿体無いですわ！」


綺麗な顔だと褒めてもらえるのは大変嬉しい。でもだ。だからと言って服を持って追い詰めるのは遠慮して欲しいものかな…。

だって、私、女の子相手は尻込みしちゃって断れないんだもの。

ーー
続きます。

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