123話 ページ28
後日―――
Aは墓地に来ていた
数日前とは打って変わって、墓地は陽光が満ちている
『彼女』の墓前に座り込んだAは手紙を書き綴る
その横顔には僅かに柔らかい笑みが浮かんでいる
しばらくして手紙を書き終えた
その手紙を供え、目を閉じて合掌をする
ここに来て、初めてAの口が動く
「ありがとう・・・またね」
墓地の出口からAを呼ぶ声がする
うなずいて立ちあがり、名残惜しそうに小さく手を振った
Aは振り返らずに去っていった
陽光に照らされた墓石に誰かが座っていた
飛び降りた『彼女』のポニーテールが揺れる
墓前に置かれた手紙を見つけると読み始めた
読み終わる頃には『彼女』の唇は弧を描く
『彼女』はAが去っていた方向を見る
そこにはもう誰もいない
うだるような暑さと蝉時雨がAがいなくなった空間を埋めて行く
『彼女』はニヤリと笑うとひらひらと手を振って陽光の中に消えた
またね
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白猫 - 面白くて一気読みしました!!これからの展開が楽しみです!更新頑張ってください!! (2016年11月19日 11時) (レス) id: 06f3d584d6 (このIDを非表示/違反報告)
REMI - うふす (2016年11月12日 10時) (レス) id: 52dbecf78a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:飴降り | 作成日時:2016年10月13日 23時