【○魂3z】＿＿＿少女

82話 ページ36

沖田side
貴「・・・」


目の前まで来ても
Aは気付かないのか、ただ目を開けていた

・・・目を開けているだけだった


沖「・・・おい」

貴「・・・」


・・・


沖「・・・A」


名前を呼ぶとようやく俺を見る


貴「・・・ああ・・沖田さん
何の用ですか・・・？」


笑顔の手本みたいな表情で顔を上げたA

いつも笑わないこいつがそんな笑みを浮かべてるのは
不自然以外の何物でもなかった


沖「・・何でここに居るんでィ」

貴「・・・用事があってたくさん歩いたので休憩してるんです」


Aは固まった笑顔のまま、少し遅れて反応した


沖「・・・謹慎じゃなかったのかよ」

貴「・・・はい









でも親族が葬儀に参加しないのは失礼ですから」

沖「・・・は？」


いきなり出てきた『葬儀』という言葉に眉をひそめる
Aはニコニコと平坦な声で呟く


貴「・・・言葉の通りですよ
さっき葬儀を済ませてきました」

沖「葬儀って・・誰の・・・」

貴「・・・父親と母親です
テレビで見ませんでしたか？





『交差点で正面衝突事故発生 全員死亡』って」

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