【ボカロ】 桜音 【短編集】

グミヤ　〜雨〜 ページ7

「今日は一日中晴れの予報でしょう」

貴「あ、天気予報変わったんだ♪」


天気予報を見るなり、私は笑顔になった。なぜ？
昨日は雨の予報だった。私は雨が嫌いってわけではないけれど、雨の際の持ち物を嫌う。

それは傘。

持ちにくいし、たたむだびになんか濡れるし。
傘を持つのが嫌い。そんな私に晴れは最大のヒーローなのである。



キーンコーンカーンコーン



「ねえねえ、雷鳴ってない？」
「やだー、曇ってきた―」
「つめてっ、雨かよ！？」


放課後。
さっきまでは全く曇ってなかった快晴の空。天気予報は裏切ったのだ。
降ってくるのは冷たい雫。
お荷物は置いてきて、私は何も持っていない。



貴「雨かぁ…」


皆はとっくに下校してしまった。
私は先生に日直だからと言って雨がやむまで残ろうと思う。



バタバタっ



ん…こんな時間に誰だろう？恐らく、足音からして、男子だろう。
この教室に向かって走ってくる…。



ガラっ


？「Aじゃん！」

貴「グミヤ！？どうしたの？」

グ「い、いや、日直の仕事忘れてて…って、もしかしてAが全部やってくれた？」

貴「まあね」

グ「ありがとな！ところでAは帰んねーの？」

貴「うん。まだここに残ろうかな…」

グ「もしかして、傘忘れとか…？」

貴「ギクぅっ！」

グ「忘れだな。それなら一緒に帰ろうぜ？」



ザーッ



断った。けれどもグミヤがいいから！と言って無理やり一緒に来た。
やみそうにない雨、沈黙の状態。もう全身が濡れている。



グ「A、ちょっとあっちで雨宿りて行こうぜ」

貴「そうだね」




それはそうかもしれない。だって、折り畳み傘に２人で入るなんて。
グミヤは平気なのかな…？相合傘。



グ「あのさ、Aはさっきオレと相合傘しててどう思った…？」

貴「どうって？」

グ「ほら、緊張したとかドキドキしたとかあんだろ？///」

貴「ま、まあドキドキしたかな///」

グ「A、好きな奴とかいるの？」

貴「はいィッ！？///」

グ「いない？」

貴「そうだね、いないかな。１度は恋をしてみたい…とかは思うけど」

グ「そっか…」

貴「グミヤ…？」




チュッ




貴「！？///」

グ「恋、してみたいんだろ？」

貴「ま、まあね///」

グ「じゃあ、俺に恋すれば？///」

貴「いいの…？///」

グ「いいよ。俺、Aの事好き、だから///」



雨、嫌いだけど…
今日は降ってくれてありがとう///

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