報告書No.08 ページ9
「…やっぱ気が変わったとか言いますか?」
壁からはみ出た黒い肩がビクッと跳ね、諦めたのか目の前に出て来た。
初めに会った赤目の…名前が分かんないな。
「加州清光様…!」
あー、なんかどっかで聞いた気がするな…
実はクラスメイトに歴史オタクがいて、刀も散々聞いていたんだけど…
池田屋の何とかって言ってたような?
「沖田総司の愛刀だっけ…?あれ、それはやま、やまと…?」
俺の呟きが聞こえたのか、加州さんは驚いたように目を開き、目を逸らした。
「俺に何か用ですか?加州さん」
「…アンタ、何なの。あんなこと言って、殺されると思わなかったの?
人間なんて、俺達は簡単に殺せるんだよ。」
分かってる?と睨むように言う彼に、ん?と疑問が浮かぶ。
「心配してくれてるのは有難いですけど、何故ですか?
加州さんも俺…てか審神者を憎んでるんでしょう?」
「…べ、つに、警告だよ!下手なことするんじゃないよ。
それと、玄関はここ右に曲がって真っ直ぐだから!」
加州さんはいい淀み、それだけ言って早足で去っていく。
「おぁ、ありがとうございます!」
道を教えてくれたのは助かった…とお礼を言うと、ピタッと立ち止まった。
…??どうしたんだ?
「…アンタは、…。」
何か言いかけて、また向きを戻して去ってしまった。
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作者名:昼寝 | 作成日時:2022年12月10日 20時