綺麗な花には刺がある (ページ4)

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報告書No.03 ページ4

｢…はぁ。話の展開が早い気がするんだけど。｣

目の前にあるのは大きな木の扉。

役人さんの話によると、この中が本丸になってるらしいけど…

｢失礼しまーす｣

念の為部屋のドアみたいに3回ノックしてから扉を開ける。

その先には綺麗な庭園…の前に銀色に光る刃先が目に入る。

｢…随分素敵な歓迎ですね。｣

赤いストールを首に巻いて黒髪を白い紐で括っている男性が赤い瞳に俺を映す。

｢ここに君の居場所は無いよ。さっさと出て行ってくれる？｣

睨んでくる彼をへぇ…と見つめると、何？と眉を潜めた。

｢いや、刀の付喪神だって聞いたんですけど…カミサマって綺麗な顔してるんですね｣

｢…はぁ？バカにしてるの？俺の言葉聞いてなかった？｣

｢あぁ、いや聞いてました。スミマセン｣

ペコッと頭を下げて謝ると、赤い彼は驚き、そして顔を顰めた。

｢出て行けって言われても、帰れないんですよね。

取り敢えずこんのすけ？のとこ行ってもいいですか？｣

｢ほらこんな物騒なのも下ろして｣と向けられた刀の峰を触って下へ下ろさせる。

｢バッ…｣

慌てたように刀を引っ込めた彼は信じられないものを見たとでも言うような顔をしている。

｢この後のことは追って話せたら良いなって思ってるんで、また今度にしましょう。｣

彼にそう言って、俺は母屋の隣に見えた小さな離れに足を向けた。