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与田賀は本来の名前じゃない。
私の苗字は“夜鷹”であった。
港町のみんなからはよく可愛がられ、愛を注がれながら育った。
父は漁師であり、よくメヒカリをとっては町で売り捌いたり家でご馳走してくれた。
母は元々農家だったため近くの山や畑を借りて私と共に農作業をしていた。
父が町で金を貰い、母と私で近所の人と作物を物々交換していた。
金銭的にはやや貧しくも、食べ物や服、住居にはあまり困らない生活をしていた。
しかしある時、恐ろしい程に海の幸も山の幸も不作の年があった。
町の人達はすぐ“何かの呪い”だと噂を広げ、その話はとうとう我が家にまでたどり着く。
『夜鷹の家の娘は嵐の日の空の色だ』
『鈍色で薄気味悪い』
『呪われている』と。
最初は私自身が呪われているという噂だったのだが、それが伝わる度に婉曲されていきとうとう｢私が呪っている｣という身も蓋もない噂にまでなってしまった。
そんなことは無い、私は父と母に困って欲しくないのに。
『良いかい、A。お前は私たちよりずっと良い人生を歩むんだよ』
ある晩、父と母はそう私に伝えて家を出た。
嵐の夜だった、外は暴風雨で視界もままならない、家から出ることさえ危険だというのに。
まるで両親が闇夜の暴風雨に溶けていくような感覚に襲われ、泣いた。
もちろん両親を放っておく訳が無い、私も同じく家を飛び出した。
2人の後を追いながら、決して消えてしまわないように全力で走った。
ようやく2人は海岸で止まり、追いついたと思ったが何やらおかしい。
『Aーーーッ!!来てはだめよ!!』
母はそう叫んだ。
父の右手首と母の左手首が縄で縛られている。
しかし私が名前を叫び、どうにか戻ってくるよう呼んだ。
声がゴウゴウと音を立てる暴風で掻き消されないように、できる限り大きな声で。
2人が押し負けたのかこちらへ踵を返そうとした時、全部が終わりになるかと思った。
『父さん!母さん!』
私は何とか名前を呼ぶことができたが、両親は私の名前を呼ぶことなく海岸からの大きな波に飲まれた。
ほんの一瞬の出来事だった、なのに飲み込まれて消えるまでが世界で一番長く感じた。
私は我を忘れて海へ飛び込んだ。
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セミ⭐︎ - 勿論です！杉元やゲンジロちゃんとの絡み楽しみにしております！無理せず頑張ってください！応援しています！ (3月21日 17時) (
レス) @page38 id: 31ded6a35d (このIDを非表示/違反報告)
＊泡沫＊(プロフ) - セミ⭐︎さん» コメントありがとうございます!私も結構箱推しなところもあるのですが杉本や月島さん、ゲンジロちゃんが活躍する回は特に好きです。作品が良い結末となるようこれからも精進いたしますのでぜひよろしくお願いします! (3月21日 15時) (レス) id: 5b050bb58b (このIDを非表示/違反報告)
セミ⭐︎ - やばいめちゃめちゃ好きです！この作品が尊いです！ところで、泡沫さんの推しは誰ですか？自分は、かなり多いのですがその中でもトップを飾るのは尾形と杉元です！更新お待ちしております！ありがとう！！ (3月20日 15時) (レス) @page38 id: 31ded6a35d (このIDを非表示/違反報告)
＊泡沫＊(プロフ) - 【作者より 読者の皆様へ】『夜鷹の桜』を読んで下さりありがとうございます!まだ未定ではありますが新たに小説を別ジャンルで書きたいなと考えております。また詳細が決まり次第改めてお知らせさせていただきますので気長にお待ちいただけると幸いです! (3月18日 5時) (レス) id: 5b050bb58b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：＊泡沫＊ | 作成日時：2024年1月7日 6時
