絶 望 の 宝 【 歌 い 手 】

7話 ページ8

自室に戻ってからも頭痛は収まらなくて、吐き気もしてきた。

そういえば。前に、初めての妊娠の時はつわりが酷いって、ネットの記事に書いてあった気がする。

だからかもしれない。と、痛む頭を抑えながら思い出した。

やっぱり耐えきれなくて、トイレに向かった。



私がトイレで嘔吐いていると、彼方が声をかけてきた。

「大丈夫…？」

背中に手を置いて、聞いてきた。

やめて…

何で今になって私に優しくするの…



以前までは彼方にこうされると凄く嬉しかった。

でも今は、気持ち悪いと感じてしまった。

それでも彼方の手を払いのけることは出来なくて、つわりによる気持ち悪さを何処かにやることしか出来なかった。


やっと吐き気が収まって、立てるようになった。

自分の部屋に戻ってから、眠気が凄くて、そのまま寝てしまった。




次の日、私が起きたのは、11時だった。

悠太との待ち合わせは午後1時だから、ギリギリセーフ。

急いでシャワーを浴びて、公園へと向かう。



悠太はまだ来ていなかった。

待っていると、また吐き気が私を襲ってきた。

公園のトイレで吐き気を追いやっていると誰かが来たような…

水で、口の中の気持ち悪さを拭って、外に出た。



公園の入り口に悠太が立っていて、私が外に出ると彼もこっちに気づいたみたいで、

「…A！」

私の方に走ってきた。

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