その1 ページ1
「くぁ……」
先程止めた暖房の余韻がやや残っている、暖かい空気が漂う店内。
思わずでたあくびを噛みしめ、タバコ棚の隣にある時計をチラリと見る。ちょうど6時になるところだ。
日曜日の午後にしては珍しく、客足も多くはない。本棚で立ち読みしている人が2、3名。それと奥のドリンク棚で談笑しているオネーサン方が約2名……1名合流して今は3名になった。
しばらくレジに用事は無さそうだ、と安心し再び出たあくびを今度は小さく零す。
どうせ見る人などいないのだから、少しくらい怠けてもいいだろう、なんて。友人の怠け癖が移ってしまったのだろうか。
今頃、どこかの誰かと遊び散らかしているアイツに毒されて来たかと思うと、身震いしてしまう。
おかげで目が冴えたが、あまりいい気がしないのはそういうことだろう。根はいい奴なんだけどなぁ。根は。
チリン、とベルのなる音がし、反射的に姿勢を正す。
いらっしゃいませ。コンビニ定員によくある、間延びした挨拶にも律儀に軽く頭を下げてくれるお客さん。
自然とそのお客さんに視線がいく。
袋菓子コーナーで立ち止まり、再び足を進めたと思えばレジからは見えない飲み物エリアに行ってしまった。
オネーサンらのいるペットボトルの方ではなく、紙コップの方。
大人しく諦め視線をタバコ棚に移す。
あれ、81番と107番空っぽやん。65番少ないけど在庫切れって店長言っとったしなぁ。よりにもよってショッポやし。
あとで店長が来たら報告せんと……あの人タバコにうるさいくせ品入れに差があるんはなんなんやろな。
「えっと……すみません、レジ大丈夫ですか？」
思案中に声をかけられるも、咄嗟に反応する。先程のお客さんだ。
「あっはい。大丈夫ですよ」
「仕事中でしたよね。すみません」
「いえ、少し考え事してただけなので……」
その表情に心が痛む。
申し訳ないです、ほんまに考え事です……
よいしょ、とエナジードリンク2つに完全食3つ、スナック菓子1つが入ったカゴレジに出された。
「6点で3008円となります。」
「…じゃあこれで。」
「3008円丁度お預かりします。……こちらレシートです。ありがとうございました、またお越しください。」
テンプレ通りの定員をやりきれば、入店時同様軽く頭を下げてくれるお客さん。その度にさらさら揺れる綺麗な黒髪に目を奪われつつ、渋々業務に戻る。
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さとう。(プロフ) - モカ豆◎mokaさん» ありがとうございます…！！ (2020年6月28日 14時) (
レス) id: 15c53c1034 (このIDを非表示/違反報告)
モカ豆◎moka(プロフ) - とっても面白いです！神作ですね！これからも頑張ってください！応援してます！！ (2020年6月28日 12時) (レス) id: b1ca2eff18 (このIDを非表示/違反報告)
さとう。(プロフ) - ちくわたろーさん» ありがとうございます……！！凄く嬉しいです;; モチベになります、頑張ります！！ (2020年6月26日 20時) (レス) id: 15c53c1034 (このIDを非表示/違反報告)
ちくわたろー(プロフ) - はわわわっ、神作の予感しかしない……。ぐっ、作者様好きです…。更新待っておりますっ！！頑張って下さいっ！！！ (2020年6月26日 18時) (レス) id: 8347c78c1d (このIDを非表示/違反報告)
青(プロフ) - さとう。さん» 言ったからね、スクショしました！ (2020年6月26日 18時) (レス) id: ba86ab62db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さとう。 | 作成日時：2020年6月26日 7時
