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さよなら、だいすきな人。 ページ38

貴方side


「真冬くん、今肩壊れちゃったんじゃない?そらるくんもボロボロだし。
 今のこの二人が、俺たち二人分の重みに耐えられるとは思わないな」

幸助さんは同じ笑みを崩さずそう言った。
私を見て、ふふっと嬉しそうに笑う。

まふくんがぎりっと歯を食いしばって、「そんなことない」とつぶやく。

「待ってて、Aっ…今すぐ引き上げるから、絶対に落とさない…っ」
「Aさん、心配しないで…っ…俺たちのこと、信じてください…っ」

やめて…もう…やめてよ…どうしてこうなってしまったの…?
二人とも辛そうで、苦しそうで。


その時、幸助さんが私の耳もとで囁いた。


「二人が今こんな思いをしてるのは、全部Aがいるからだ。」


私が、いるから。


「だから、一人選んで。

 真冬くんか、そらるくん、どちらかを選べば、きっとそいつが一緒に堕ちる。
 お前が選べ。彼氏か、友達か」


幸助さんの声が、脳内に響いてくる。
二人のうち、どちらかを選ぶ。


「真冬くんを助けたいのなら、やっぱりそらるくんかな?
 それとも俺と同じように愛する人と死にたいなら、真冬くんを掴もうか?」

愛する人、だいすきな人。

「あ…まふ…く…」

まふくん、私がいなければ。
今ここで、肩を壊さずに済んだのかな。苦しまなくて済んだのかな。

「そ、らる…さ…ん…」

そらるさん、私がいなければ。
今ここで、いやな思い出を作らずに、幸せでいられたのかな。


私があのとき、助からなければ、まふくんに助けられなければ。
皆、苦しまずに済んだのかな。

「幸助、さん…」









「…どっちも、掴まないで…」









もう、疲れてしまった。もうこれ以上、ふたりを、みんなを、苦しませたくない。
まふくんとそらるさんの顔が蒼白になる。

幸助さんの手が、二人の腕を払った。

見慣れた夜景が、キラキラと私の涙越しに視界で輝く。
この世界と、これでもうお別れだ。

最初に、私が願ったことじゃないか。


スローモーションに落ちていく中、上を見るとまふくんがこちらに手を伸ばしていた。
その隣ではそらるさんも同じように手を伸ばしている。

身を乗り出す二人の身体を、うらたくん、坂田くん、志麻くん、センラくんが押さえてくれている。




そう、それでいいの。私がいなければ、皆幸せ。
少しの間でも、十分すぎるくらい私には幸せだった。



さよなら、だいすきな人。

二年後→←*6(刹那)



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設定タグ:まふまふ , 恋愛 , 歌い手   
作品ジャンル:恋愛
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夕焼涙雫(プロフ) - 栗原 真白さん» 面白かったですよいー(*ゝω・*) (2018年9月23日 6時) (レス) id: 76522a65f0 (このIDを非表示/違反報告)
栗原 真白 - 夕焼涙雫さん» ほ、ほんとですか…?!嬉しいです、ありがとです…!! (2018年9月22日 19時) (レス) id: 0170d3c859 (このIDを非表示/違反報告)
栗原 真白 - Canpasuーキャンーさん» ありがとうございます(*>ω<*) (2018年9月22日 19時) (レス) id: 0170d3c859 (このIDを非表示/違反報告)
夕焼涙雫(プロフ) - 完結じゃー!時間がある時(=休日)に読み返そう (2018年9月20日 6時) (レス) id: 76522a65f0 (このIDを非表示/違反報告)
Canpasuーキャンー(プロフ) - 完結(?)お疲れさま!そらるさんの次回作、楽しみにしてるよ! (2018年9月19日 20時) (レス) id: 1cab1691ff (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:青瀬真白 | 作成日時:2018年6月26日 6時

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