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*3(後悔) ページ34

まふまふ side


「A、そらるさんっ…!!」

僕はそう叫んで、家の中に足を踏み入れた。
家の中の空気は酷く淀んでいて、居心地がいいとは言えない。

「はぁっ、はあ…っ、ここか?幸助とかいう奴が言ってたの」
「うん、Aとそらるさんがいるはずなんだけど…」

「…ま…ふ…まふ…?」

小さくか細い声だったけど、そらるさんの声だと思った。
耳を澄ますと、お風呂場あたりから聞こえてきた。

「そ、らるさん…?」

お風呂場のドアを開けると、そらるさんが倒れていた。
服は乱れて、髪もぐしゃぐしゃになって、なんだか甘い匂いが充満していた。

「…っ!そらるさんっ…?」
「ちょ…っ…しっかりしてくださいよ…!」

センラくんとうらたんがそらるさんを抱き寄せた。
そらるさんの身体はほんの少し火照っていて、目はどこか虚ろで涙が光っている。

「…まふ、ま…ふ、そこに、いるの…?」
「っ、そらるさん、大丈夫ですか?何があっt…」
「まふくん」

僕が何があったのか聞こうとする志麻くんが僕の言葉を遮った。
「それ以上言わないで」という風に首を振る志麻くん。

「…あ…」
「まふ、そっとしとこ、な?」

坂田に諭され、僕は頷いてそらるさんに寄り添うしかできなかった。

「ごめんね、そらるさん…ごめんなさい…」

こんなになるまで傷ついて、壊されちゃったんだね。

「…っ、まふまふ…?なんで…泣いて…」

僕の涙がそらるさんの頬に落ちた。
びっくりしたようにそらるさんが僕を見上げる。

「そらるさん、ありがと…っ、…ごめんなさい、…」
「…まふまふ…」
「ありがと、こんなになるまで、Aを守ってくれて…っ
すぐに助けてあげられなくて、ごめんなさ…っ」
「…ん、だいじょぶ…俺はもう大丈夫だから、」

僕の頭を、そらるさんのあったかくてやわらかい手が撫でた。
僕が顔を上げると、そらるさんの笑った顔が見える。




「Aさんのとこ、行って…」




頭の中で、Aが笑ったような気がした。
僕は、ちょっとだけ躊躇ったけど、そらるさんが「ほら、早く」という風に頷いて笑う。


「…う、ん…っ!」


僕も笑って頷いた、その瞬間。




「きゃああああああああああああ!!!」




Aの叫び声が響いた。
耳を塞ぎたくなるような悲鳴に、そらるさんが顔色を変えて起き上がった。
身体の痛みに一瞬顔を歪めながら「まふまふ 、早く!」と叫んで立ち上がる。



このとき、もっと早く走っていればよかった。

*4(躊躇)→←*2(傷跡)



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設定タグ:まふまふ , 恋愛 , 歌い手   
作品ジャンル:恋愛
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夕焼涙雫(プロフ) - 栗原 真白さん» 面白かったですよいー(*ゝω・*) (2018年9月23日 6時) (レス) id: 76522a65f0 (このIDを非表示/違反報告)
栗原 真白 - 夕焼涙雫さん» ほ、ほんとですか…?!嬉しいです、ありがとです…!! (2018年9月22日 19時) (レス) id: 0170d3c859 (このIDを非表示/違反報告)
栗原 真白 - Canpasuーキャンーさん» ありがとうございます(*>ω<*) (2018年9月22日 19時) (レス) id: 0170d3c859 (このIDを非表示/違反報告)
夕焼涙雫(プロフ) - 完結じゃー!時間がある時(=休日)に読み返そう (2018年9月20日 6時) (レス) id: 76522a65f0 (このIDを非表示/違反報告)
Canpasuーキャンー(プロフ) - 完結(?)お疲れさま!そらるさんの次回作、楽しみにしてるよ! (2018年9月19日 20時) (レス) id: 1cab1691ff (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:青瀬真白 | 作成日時:2018年6月26日 6時

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