きっとこれからも ページ44
まふまふside
人前で盛大に泣きはらした後というのは、ひどくきまりが悪いものだと知った。
穴に入りたいほど恥ずかしくて、そのくせ安堵しきったような、変な気分。
でも、なんだかすごく嬉しくて、幸せな心地よさだ。
先生は、数日は病院で様子を見ることになると言っていたけど、
その数日は意外とあっさり、思っていたよりも早く過ぎ去った。
「…2年ぶりだ、まふくんの家…」
少し感慨深そうにつぶやくAは、ほんのちょっと寂しそうで。
愛しさで胸がいっぱいになって、彼女を強く抱きしめる。
「…ん、む…」
「…A、すき。」
触れるだけの、優しいキスをして。
それだけでも幸せそうなAの表情に安心する。
「…おかえりなさい、A」
僕がそう言ってドアを開けた瞬間、クラッカーの陽気な音がはじけた。
「え、えっ…?!」
Aは、驚きと感動からか、少し涙目になって、すごくきれいに見えた。
その視線の先へと僕が振り向くと、歓喜の表情で僕たちを迎えるみんなの姿が視界に映った。
「おかえりーーー!!Aさん!!」
普段よりもずっとテンションの高いうらたんと、
「2年ぶりやな…ちょっと大人っぽくなったかもな」
少し赤くなった目ではにかんでるさかたんと、
「…う、うぐぅ…っ、ほんま、目え覚めて…ほんま、よかっ…」
泣きじゃくりながらクラッカーを手に持つ志麻くんと、
「…久しぶり、センラのこと、覚えてますか?」
涙をこらえて、ふわりと笑うセンラくんと、
「…みんな、2年もAさんを待ってたんですよ」
表情を崩して儚く笑うそらるさん。
みんな、Aのことを待っていた人たち。
「こん、な…っ…」
涙があふれだした大きな瞳を揺らして、Aが僕を見上げた。
僕は笑って、Aの背中を押す。
「…っ、た、だいまぁあ…っ!!」
笑顔でそう言った彼女を見て、僕もたまらず涙をひとつこぼした。
何気ない平凡な日常が、僕たちにとってかけがえのない、とくべつなもの。
乗り越える強さがあって、でも、一人で歩いているわけじゃない。
きっと世界は、もっと広くてあたたかい。
きっと、今がいちばん幸せで、大切なとき。
心に光を灯して、ふたりならきっと何があっても大丈夫。
もう、つらい思いなんてさせない。
生まれ変わったら、また君と恋がしたい。
いつだって君が、いちばんだから。
END
549人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夕焼涙雫(プロフ) - 栗原 真白さん» 面白かったですよいー(*ゝω・*) (2018年9月23日 6時) (レス) id: 76522a65f0 (このIDを非表示/違反報告)
栗原 真白 - 夕焼涙雫さん» ほ、ほんとですか…?!嬉しいです、ありがとです…!! (2018年9月22日 19時) (レス) id: 0170d3c859 (このIDを非表示/違反報告)
栗原 真白 - Canpasuーキャンーさん» ありがとうございます(*>ω<*) (2018年9月22日 19時) (レス) id: 0170d3c859 (このIDを非表示/違反報告)
夕焼涙雫(プロフ) - 完結じゃー!時間がある時(=休日)に読み返そう (2018年9月20日 6時) (レス) id: 76522a65f0 (このIDを非表示/違反報告)
Canpasuーキャンー(プロフ) - 完結(?)お疲れさま!そらるさんの次回作、楽しみにしてるよ! (2018年9月19日 20時) (レス) id: 1cab1691ff (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:青瀬真白 | 作成日時:2018年6月26日 6時