年上彼氏に溺愛されていますⅢ【センラ】 (ページ3)

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嵐の前のページ3

千羅さんとの週末デートを終えた私は束の間の平穏な日常に戻る。

「平穏っていうか、嵐の前の静けさ的な？」
『試験前だからね…教授によっては少しずつ試験範囲伝えてくれたりするけど、大半の教授は本当に直前にならないと教えてくれないから』
「大学生になっても結構大変だよねー。レポートとかもあるし、締切もまちまちだし」
『前期の成績はこの1回で決まるから、手も抜けないしね』

親友の舞花とカフェでお茶しながらそんな会話をする。大学生2回目の夏とはいえ、高校時代とは異なる試験の形態に振り回されつつあることは自覚済みだ。

「でも試験乗り越えればライブだもんねー？」
『そ、そうだね…』
「はー！顔赤くしちゃって！お熱いことで！」
『ちょっと舞花、やめてよ…』

千羅さんの名前を出されるとつい照れてしまう。気を紛らわせるようにスマホに視線を落とすと、大学の同期からメッセージが入っていた。

「どうしたの、A？」
『え、いや何でもないよ』
「嘘。Aの何でもないは何でもなくないから」
『信用がない…』
「で？本当にどうしたの」
『うーん、思い違いだと思うんだけど…』

私はそう前置きして、同期について話した。

「ふーん…同じ授業のグループワークのメンバーから個チャでやたらと質問が飛んでくると…」
『聞きやすいと思ってくれてるからなんだろうけど、授業の度に色々聞かれるからちょっと疲れちゃって』
「いやそれ完全に狙ってるじゃん…とりあえず、分からないことは分からないってハッキリ言いな。わざわざ調べてあげる義理はないよ」

前半はうまく聞き取れなかったが、舞花の真剣な眼差しに真摯に向き合ってくれる姿勢に感謝する。同時に、つい本音を漏らしてしまう。

『でも勉強になることも多いし…』
「その学びは、本来なら同期が調べて還元するべきじゃない？Aに丸投げするのは違うと思うよ」
『丸投げ…確かに、前は向こうも調べてくれて解決したよ、って連絡くれたこともあったけど、最近はそういうの無いな…』

膝の上の拳を見つめ、僅かに溜息を吐き出す。思っていた以上にストレスに感じていたのかも、と認識する。

『そう、だね…今度からそうする』
「今のもそいつからでしょ？今回からやるのよ」
『う、うん…』
「ちなみに確認だけど、そいつ男だよね？」

ほぼ断定の友人の問いかけに私は苦笑いしながら頷くのであった。