年上 ページ9
『…？』
「んー…あんまり一目惚れはしない方やと思うけど…恋は落ちるものってよう言うしな？」
何故か私の方に向きながら、笑顔で話しかけてくる折原さん。これは同意した方が良いのだろうかと思い、一応首を縦に振っておくと、折原さんの笑顔が深まった気がした。
21時過ぎ。結局、私は折原さん以外の人とはほとんど喋らないまま、お開きの時間となった。
「2次会行こー！」
「どこ行く？」
「カラオケでいいんじゃない？」
「折原先輩、歌上手かったっすよね！」
「えー聞きたい！」
他の人達が2次会の話をしている間に、私はそそくさと帰り支度をしていた。
「あれ、Aちゃんは2次会行かへんの？」
『あっ…はい………』
元々人数合わせの為だけに来ただけだし、何よりこのメンバーと一緒にいても、楽しいと感じられなさそうだったのだ。
「なら、俺と一緒に抜け出そか」
『っ！？』
急に耳元で低めの声で誰かに囁かれた。思わずバッ！と耳を押さえて、声がした方を見ると、折原さんが悪戯の成功した子供のようにニヤニヤと笑っていた。
『い、今の…』
「んふふ、さ、行こー。皆、今日はありがとうございました〜」
恥ずかしさと驚きで固まっている私を余所に、折原さんは幹事の拓海さんにお金を渡し、片手にキャリーケース、片手に私の手を取って、個室をあとにした。
『あっお金…払ってない！』
「ん？あ、全部奢ったから気にせんでええよ〜」
『えっ、全部？！』
お店を出てからようやく我に帰り、慌てていると、折原さんが信じられないような事を言った。8人分を1人で…？！
『せ、せめて私の分だけでも…！』
「女の子からお代は貰えんよ。気持ちだけ受け取っとくな？」
よしよしと頭を撫でられ、さりげなく財布を出そうとしていた手も制された。これが年上の余裕、というやつだろうか。いちいち様になるし、格好良い。
「このままお別れは寂しいし、折角やからお家まで送ろうか？」
『いえ、そこまでしていただくわけには…！』
「えー僕が寂しいんやけど。…駄目？」
先程まで見せていた大人っぽさから反転、今度は可愛らしく小首を傾げて尋ねてくる折原さんは天然なのか、確信犯なのか。
「駄目、じゃないです…」
いずれにせよ、私は折原さんの思惑にまんまと嵌まるしか道は残されていないのは確かで。
折原さんに手を引かれるがまま、私は折原さんの車へと向かうのだった。
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紫苑(プロフ) - リリトさん» リリトさん、コメントありがとうございます！ そんな偶然があるんですね？！自分で名前を設定しておきながら驚きました笑 (2020年11月9日 19時) (
レス) id: 25868fbf10 (このIDを非表示/違反報告)
リリト - 漢字は違うけど、本名同じ人おったｗｗ (2020年10月22日 17時) (レス) id: 5c9bfe90e0 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - ひよりんさん» こんばんは。メッセージを返信させて頂きましたので、ご確認頂ければ幸いです。 (2020年8月22日 0時) (レス) id: 25868fbf10 (このIDを非表示/違反報告)
ひよりん(プロフ) - こんにちは。メッセージ送らせていただいたので、見ていただければ幸いです。 (2020年8月21日 21時) (レス) id: 222226e292 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - センラさん推しさん» センラさん推しさん、コメントありがとうございます！ 神様だなんて畏れ多いです…！ですがありがとうございます、嬉しいです。 これからも頑張りますね！ (2020年3月18日 22時) (レス) id: 25868fbf10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫苑
| 作成日時：2019年11月1日 18時
