お揃い ページ49
水族館での時間はとても楽しく、あっという間に過ぎていった。
「あー楽しかったわ」
『はい！アシカも可愛かったですし、イルカも可愛かったですし、あとクラゲも…』
「Aちゃん、めっちゃ色々好きやん」
『一番が選べない位にみんな可愛かったです！』
折原さんは相変わらずスマートに館内を案内してくれて、格好良さにドキドキさせられっぱなしだった。
途中、周囲の視線が気になる事はあったけれど、上の空になるとすぐに折原さんが「大丈夫？」と声を掛けてくれたので、途中からは意識して気にしないように努力した。
「お土産屋さんかー。中見て行こうか」
『はい！』
二人でお土産屋さんを歩き回り、触り心地の良いぬいぐるみに感動したり、「水族館に行ってきました」のクッキーを見て二人で苦笑したり、ぶらぶらと歩き回る。
『…あ』
その中で見つけたペンギンのペアキーホルダー。可愛すぎずお洒落なそれに自然と目が釘付けになる。
「ん？どうしたん？」
『いえ、これお洒落だな、と思いまして…』
「あ、ほんまや。これええなぁ」
折原さんにも同意してもらえて、嬉しくなりながら移動しようとしたら、折原さんが「え？」と驚いた声を出した。
『どうかしましたか？』
「え、買わないん？」
『…うーん、もう少し迷います』
「…そっか」
本当は買いたいけれど、お揃いの物を持ちたいだなんて恥ずかしくて言い出せないし、男の人はカップルでお揃いのものを持つ事を嫌がる人が多いと、いつかの雑誌で読んだ事がある。
そんな事を考えながら、キーホルダーに背中を向けたタイミングで折原さんが驚きの発言をした。
「ほな、俺これ買うわ」
『…え？あ、はい。どうぞ…？』
「やから、Aちゃん、俺と一緒にこれ付けようや」
『…え？え？』
まさかの折原さんからの申し出に脳の処理が追い付かない。目をパチパチと瞬かせて、折原さんを見上げたまま固まってしまう。
「嫌やった？」
『そ、そんな事は…！』
「決まりやな」
嬉しそうにレジにキーホルダーを持っていき、満面の笑顔で購入する折原さんを私は呆然と眺める事しかできなかった。
「はい、どっちが良い？」
『…えっと、じゃあこっちで』
「んふふ、はいどうぞ」
片方を私に渡してくれた折原さんは、もう一個のキーホルダーを早速車の鍵らしきものに付けてくれた。
「お揃いやね」
『…はい』
こうして、嬉しそうにペンギンのキーホルダーを揺らす折原さんに、私はまた恋に落ちていくのだ。
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紫苑(プロフ) - リリトさん» リリトさん、コメントありがとうございます！ そんな偶然があるんですね？！自分で名前を設定しておきながら驚きました笑 (2020年11月9日 19時) (
レス) id: 25868fbf10 (このIDを非表示/違反報告)
リリト - 漢字は違うけど、本名同じ人おったｗｗ (2020年10月22日 17時) (レス) id: 5c9bfe90e0 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - ひよりんさん» こんばんは。メッセージを返信させて頂きましたので、ご確認頂ければ幸いです。 (2020年8月22日 0時) (レス) id: 25868fbf10 (このIDを非表示/違反報告)
ひよりん(プロフ) - こんにちは。メッセージ送らせていただいたので、見ていただければ幸いです。 (2020年8月21日 21時) (レス) id: 222226e292 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - センラさん推しさん» センラさん推しさん、コメントありがとうございます！ 神様だなんて畏れ多いです…！ですがありがとうございます、嬉しいです。 これからも頑張りますね！ (2020年3月18日 22時) (レス) id: 25868fbf10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫苑
| 作成日時：2019年11月1日 18時
