友人 ページ46
折原さんを追いかけようか迷った末に、結局私は順番が次に来てしまっていたので、水族館のチケットを2枚買う事にした。
列から離れ、お土産屋さんの脇でぼんやりと折原さんの帰りを待つ。
(折原さん、顔色悪かったけど、大丈夫かな…？)
あんなにも焦った折原さんは初めて見たため、私も釣られて焦ってしまった。
私の後ろに何か折原さんが顔色を悪くするような何かがあったと推測されるが、私には分からない。
(もしかして幽霊が見えた、とか…？………いや、それは現実的ではないか。だとしたら、元カノさんとか…？)
そこまで考えて、胸がチクリと痛む。嫌な想像ほど簡単に膨れ上がっていくものだ。
(どうしよう、久しぶりに見た元カノさんが前より綺麗になっていて、好きだった気持ちが戻ってきて…しかも隣に彼氏さんがいるのを見て、飛び出して行っちゃったとか？！)
舞花か姉がいれば「ドラマの見すぎだ」と突っ込んでくれただろうが、今ここにはいない。
(ああもう泣きそう……)
折原さんの事は信じている。でも弱い自分が最悪の事態を想定しておけば楽だとも囁いているのだ。
「あれ、君…？」
『…え？』
俯いてぼんやりと足元を眺めていた時、耳に届いたのは折原さんより少し低い男性の声。初めて聞いた声なのにも関わらず、何故かその声が私に向けて発されていると感じられて、私は思わず顔を上げてしまった。
「やっぱり…」
『あの…？』
顔を上げた先に立っていたのは、目元の黒子が特徴的なイケメンさん。イケメンさんは私を上から下まで見た後、小首を傾げた。
「えーっと…もしかして、深山Aちゃん？」
『…どちら様でしょうか』
「俺はセ…折原千羅の友人なんやけど」
『折原さんの…？』
「おん。あれ、そういえばアイツどこ行ったん？今日は初デートだって散々騒いでたのに、腹でも下したのか？」
きょろきょろと周囲を見回す友人さんは、本気で折原さんを探してくれているようで、とても悪い人には見えない。
『いえ、あの実は…』
簡単に事情を説明しようと思ったその時。遠くから私の名前を呼ぶ折原さんの声が聞こえた。
「Aちゃん！」
「あ、いた。良かったね。じゃ、俺はこれで」
『は、はい！あのっありがとうございました！』
ペコリと頭を下げると、友人さんはひらひらと片手を振りながら颯爽と去って行った。その後ろ姿がとても様になっていて、流石折原さんのご友人だと感心したのだった。
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紫苑(プロフ) - リリトさん» リリトさん、コメントありがとうございます！ そんな偶然があるんですね？！自分で名前を設定しておきながら驚きました笑 (2020年11月9日 19時) (
レス) id: 25868fbf10 (このIDを非表示/違反報告)
リリト - 漢字は違うけど、本名同じ人おったｗｗ (2020年10月22日 17時) (レス) id: 5c9bfe90e0 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - ひよりんさん» こんばんは。メッセージを返信させて頂きましたので、ご確認頂ければ幸いです。 (2020年8月22日 0時) (レス) id: 25868fbf10 (このIDを非表示/違反報告)
ひよりん(プロフ) - こんにちは。メッセージ送らせていただいたので、見ていただければ幸いです。 (2020年8月21日 21時) (レス) id: 222226e292 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - センラさん推しさん» センラさん推しさん、コメントありがとうございます！ 神様だなんて畏れ多いです…！ですがありがとうございます、嬉しいです。 これからも頑張りますね！ (2020年3月18日 22時) (レス) id: 25868fbf10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫苑
| 作成日時：2019年11月1日 18時
