ナンパ ページ26
待ち合わせの30分前に駅に着いた私は、駅前の本屋さんで時間を潰してから、15分前には駅前で待つことにした。
(早く着いたって連絡すると焦らせてしまうかもしれないし、10分前になったら連絡しようかな？)
帰宅時間と重なっているからか人通りの多い駅前で、私はスマホを弄りながらそんな事を考えていた。
「お姉さん、可愛いね？俺たちと遊ばない？」
すごい、ナンパされている人もいる。繁華街に近いこの駅を一人で夜に訪れるのは初めてだが、やっぱり怖いなぁ、なんて考えていると、ぐいと肩を引かれた。
『な、何か私に御用ですか…？』
「お姉さんつれないなー？無視しないでよ？」
私の肩を引いた人は、チャラそうな男性二人組。ニヤニヤと笑いながら、じろじろと見られて不快な気分になるが、突然の事すぎて頭も口も回らない。
「お姉さん一人でしょ？俺たちと一緒に遊ぼうよ」
『え、いや、待ち合わせで…』
「何？お友達？」
『えっと…』
男性に尋ねられて、言葉に詰まる。私と折原さんの関係性は何と呼べば良いのだろうか。
…私の片思い？それとも知り合いのお兄さんと妹？
ぐるぐると考えていると、無言を肯定と受け取ったのか、男性が笑みを深くしながら肩を掴む手を強めてきた。
「お友達ならその子も一緒でいいからさぁ」
『いっ…！』
「それは遠慮させてもらいたいですねぇ。…ていうか、いつまでその子に触ってんだよ、さっさと手離せ」
痛みに顔を歪めたその時、1週間ぶりに聞く大好きな"あの人"の声が聞こえた。初めて聞くようなドスの効いた低い声には驚いたが、それは私を労わってくれているもので、安堵のあまり涙腺が緩みかけてしまった。
「チッ…彼氏待ちかよ」
「そうならそうと言えよ、ブス女」
「…お前ら、もういっぺん言ってみい？」
男性たちが何やら私を罵っていたようだったけれど、私の耳にはそんな言葉は届かない。私を庇うように立ってくれた折原さんの背中の広さに、抱き着きたい気持ちで一杯になっていた。だけど、結局抱き着く勇気はなくて、折原さんのスーツの裾をそっと握り締めるだけで恥ずかしくなってしまう。
「どうした、Aちゃん？」
『折原さん、ありがとうございます…』
私が裾を掴んだ事にすぐに気が付いてくれた折原さんは最後に会ったあの時も優しい声で私に問いかけてくれた。その優しさに、私の心の中にあった「好き」の気持ちがどっと溢れ返って、震える声で感謝の言葉を伝えるのに精一杯だった。
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紫苑(プロフ) - リリトさん» リリトさん、コメントありがとうございます！ そんな偶然があるんですね？！自分で名前を設定しておきながら驚きました笑 (2020年11月9日 19時) (
レス) id: 25868fbf10 (このIDを非表示/違反報告)
リリト - 漢字は違うけど、本名同じ人おったｗｗ (2020年10月22日 17時) (レス) id: 5c9bfe90e0 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - ひよりんさん» こんばんは。メッセージを返信させて頂きましたので、ご確認頂ければ幸いです。 (2020年8月22日 0時) (レス) id: 25868fbf10 (このIDを非表示/違反報告)
ひよりん(プロフ) - こんにちは。メッセージ送らせていただいたので、見ていただければ幸いです。 (2020年8月21日 21時) (レス) id: 222226e292 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - センラさん推しさん» センラさん推しさん、コメントありがとうございます！ 神様だなんて畏れ多いです…！ですがありがとうございます、嬉しいです。 これからも頑張りますね！ (2020年3月18日 22時) (レス) id: 25868fbf10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫苑
| 作成日時：2019年11月1日 18時
