stage.28 ページ39
事務室に戻った後、私はいつもの席に座る。これから私は、金城さんから渡された資料を基に、今日の大会についての記録を残さなくてはならない。それは例えば出場者全員の名前であったり、対戦カードについてであったり、様々だ。しかも全て手書き。前回も腱鞘炎になったが、今回もきっと逃れられないだろう。
護衛の親友は、本来はもう仕事は終わりなのだが、私を気遣ってくれて残ってくれると言い出した。
「A、扉はどうする？」
『…ごめん、開けておいてほしい…』
「ん、りょーかい。じゃ、私はここで気楽に座らせてもらうね」
『ごめんね…』
「A、こういう時は感謝の言葉の方が喜ばれるぞ」
「そーそー」
『…そっか、そういう事ならありがとう』
素の自分でいさせてくれる2人に感謝しながら、私は目の前の書類仕事に専念しようと決意するのであった。
―――まさか、この会話を立ち聞きされているなんて、思いもせずに。
数時間後。書類仕事はほとんど終わり、金城さんと親友には帰ってもらい、私は事務室の隠し部屋で一人で作業をしていた。
(よし、このお礼状に封をすれば終わり！)
ぐっと身体を伸ばせば、バキボキと肩や腰の辺りから音がした。苦笑いを零しながら、立ち上がる。ふと時計を見遣れば、時計の針は頂点で重なり合いそうになっていた。
(今日はこのままここに泊まるか)
応接室の横に小さな宿泊部屋があり、たまに利用させてもらっている。この時間に自宅に帰るのは危険だと判断し、私は人気の無い廊下を月明りだけを頼りにふらふらと歩き、応接室に辿り着く。しかし、そこで私は応接室の中から光が漏れている事に気が付いた。
(もしかして電気を消し忘れた？)
珍しい事もあるものだ、と内心首を傾げながら、扉を開けて、私は驚きでその場で固まった。
『な、なんで…』
言いたい事は沢山あるのに、言葉はまとまらなくて、絞り出した声で発せた言葉はそれだけ。
誰もいないと思っていた応接室のソファーには、数時間前に帰ったと思っていた"彼"が座っていた。"彼"は私の顔を見て、眉を下げて困ったように笑う。その表情一つで私は、"彼"が私の正体に気が付いてしまった事を察してしまった。
『…もう言い逃れはできない、ね』
ここまで来たら腹を括るしかない、そう思い、私は彼の向かい側のソファーに腰掛けるのだった。
―――夜は、まだ長い。
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紫苑(プロフ) - リリさん» ちゃんと変換できたみたいで良かったです！ ご不便をおかけして、失礼しましたm(__)m 頑張ります！ありがとうございます！ (2019年10月14日 0時) (
レス) id: 25868fbf10 (このIDを非表示/違反報告)
リリ(プロフ) - ちゃんと、名前が出来ていました！名前で呼ばれるのが嬉しいです(￣∇￣*)ゞ次も頑張ってください！ (2019年10月13日 18時) (レス) id: 3c3ec4405a (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - リリさん» リリさん、ご指摘ありがとうございます…！こちらの設定ミスです…修正いたしましたので、名前が変換されるはずです！ 応援ありがとうございます！頑張ります！！！ (2019年10月11日 21時) (レス) id: 25868fbf10 (このIDを非表示/違反報告)
リリ(プロフ) - 最高です！登場人物の、名前を変える設定で名前を入れても、変えれないのですが……どういうことでしょうか……これからも、頑張ってください！ (2019年10月11日 15時) (レス) id: 3c3ec4405a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫苑
| 作成日時：2019年10月7日 13時
